<イベント内容>
特許権、著作権、商標権など知的財産権の侵害をめぐるニュースに触れる昨今。知的財産権の侵害は、企業のブランド価値を落とすだけでなく、訴訟問題に発展するリスクもあります。
セミナーでは、新規事業創出を目指す企業やスタートアップの方々に向けて、自社が権利を侵害される、ノウハウや技術が流出する、もしくは自社が侵害するという状況にならないように、知財・権利の専門家に詳しく解説いただき、自社を守るために必要な知識を得ていただきます。
<講師紹介>
東京都知的財産総合センター 知財戦略アドバイザー 弁理士 立花 範幾(タチバナ ノリキ)氏
・化学メーカーの研究開発部門に20年、知財部に15年在席
・研究開発時代には発明者として国内外で100件超の登録特許を取得、知財部時代には弁理士資格を取得し知財戦略立案等研究開発をサポート
・その後、特許事務所に5年間在籍、スタートアップを含む多種多様な企業の支援経験を持つ
・2022年4月から東京都知的財産総合センターの知財戦略アドバイザーとして、スタートアップや中小企業の知的財産支援に従事中
※当初登壇予定でした河本 健二氏が体調不良のため、急遽、代理で登壇していただきました。
目次
1.新規事業創出における知財、権利の役割
2.知財を守るために必要なこと
・自社のノウハウや技術を守るための知識
・他社のノウハウや技術を侵害しない為の知識
3.過去の事例
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1. 新規事業創出における知財、権利の役割
新規事業の創出において、知的財産(知財)や権利は極めて重要な役割を果たします。これらの知財には、特許権、商標権、意匠権、著作権などが含まれ、企業が独自の技術やアイデアを他者から守るための武器となります。知財を保有することで、競争優位性を確立し、市場での独占的な立場を維持することができます。また、知財を活用してライセンス契約を結ぶことで、収益を得る手段にもなります。
立花さんから例として、とある企業のトイレットペーパーに関する訴訟での特許権の重要性についてお話しいただきました。このケースでは、特許権の侵害が問題となり、特許権を持つ企業がどのようにして市場での優位性を確保するかが焦点となりました。
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2. 知財を守るために必要なこと
・自社のノウハウや技術を守るための知識
まず自社が持つ知財をしっかりと把握し、適切な権利化を行うことが必要となります。特許、商標、意匠、著作権といった各種知財の違いを理解し、どのような権利が自社を保護するのかを把握することが重要ですね。ビジネスモデル特許を取得することで、他社が類似のビジネスを展開することを防ぐことが可能になります。
また、営業秘密の管理も重要。営業秘密とは、製品の製造方法や取引先情報などの機密情報です。これらを守るためには、秘密保持契約(NDA)の締結や社内の情報管理体制の整備が欠かせません。
・他社のノウハウや技術を侵害しない為の知識
他社の知財を侵害しないためには、事前に調査を行い、自社の技術や製品が他社の権利を侵害していないか確認が重要です。侵害が発覚した場合、損害賠償や製品の販売差し止めといった法的リスクが発生します。
こちらも立花さんから例として、国内A社が海外企業の製品である鋼板を使用した際、国内B社から特許権侵害で訴えられたケースがあげられました。このような事例からも、権利侵害のリスクを軽減するための確認作業がいかに重要かわかりますね。
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3. 過去の事例
過去の事例についてもいくつかお話ししていただきましたが、その中から一部を紹介します。
1)近年の話題として、C社のゲームがD社から特許権侵害で訴えられた事件がありました。このケースでは、ゲームアプリにおける特許権侵害が問題となり、知財の保護範囲の広がりが改めて注目されました。特許権や著作権といった知財は、アプリやゲームの世界でも重要な役割を果たしており、企業がこれらを適切に管理・活用することが求められます
2)有名な高級ブドウをはじめ、商標登録ができなかった日本の農作物の事例も記憶に新しいですね。このケースでは、商標権の重要性が強調され、適切な商標管理がいかにブランド価値を守るかが明確になりました。商標権を持たないことで、他者にブランドを乗っ取られるリスクが生じることは各報道で知った方も多いのではないでしょうか。
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最後に・・・
セミナーでは、新規事業創出における知財の重要性や、知財を守るための具体的な知識を過去の事例を交えて解説がありました。
知財への理解と対応の重要性は年々増すばかりです。新規事業創出に限らず、自社の技術や意匠を守るためにも、訴訟リスクを回避するためにも、知識として知っておくことはもはや当たり前の時代であると強く認識したほうが良いですね。
今後も新たな知識や理解を深めていただけるようなセミナー等イベントを企画してまいりますので、ぜひご参加ください。