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知財で自社を守る!価値創造の新しい戦略とは?


OiF八王子館で開催されたセミナー「自社を守れ!新たな価値創造に必要な知財の知識」は、多くの方に対して有益な情報が詰まったイベントとなりました。 今回のイベントで紹介された知財の重要性と、その活用方法についてお伝えいたします。

目次

  1. セミナーの概要と目的
  2. 知財の基本とその重要性
  3. 知財戦略の立案と実践
  4. 成功事例の紹介
  5. 知財リスクの管理

 

1.セミナーの概要と目的

今回のセミナーでは、知的財産(知財)の専門家を招き、知財が企業の価値創造にどのように役立つかについて解説いただきました。
知財とは人間の創造的活動によって生み出されたアイデアや創作物など、財産的な価値を持つ無形のもの全般のことで、植物の品種などを守る権利であり育成者権(種苗法)や営業秘密、半導体の回路配置にまで及ぶ多数の法令、権利も含まれます。

様々な権利を守るためにある知財ですが、今回は特許、商標、著作権、意匠権に的を絞って、知財の活用法やその成功事例、侵害に対する事例を解説いただきました。


 

2.知財の基本とその重要性

冒頭では、知財の基本概念とその重要性と係争や判例の事例について解説いただきました。

  • 特許: 新技術の独占権を得て、市場競争力を強化します。
    事例:新しい製造プロセスの特許を取得し、競合他社が同様の技術を使用できなくなりました。これにより、その企業は市場での独占的地位を確保し、収益を大幅に向上させました。
  • 商標: ブランドの信頼性を高め、顧客の認知度を向上させます。
    事例:独自の商標を登録し、類似の商標を使用する他社と係争になりましたが、最終的に裁判所はその企業の商標権を認め、ブランドの独占使用が確立されました。
  • 著作権: 創作物を保護し、コンテンツの価値を維持します。
    事例:開発したソフトウェアの著作権を侵害されたケースでは、裁判所が企業側に有利な判決を下し、侵害者に対して賠償金が支払われました。
  • 意匠権: デザインの独自性を守り、製品の差別化を推進します。
    事例:独自の製品デザインを意匠登録し、他社が類似デザインを使用した際に訴訟を起こしました。裁判所は企業側の意匠権を認め、他社にデザインの使用禁止を命じました。

 

3.知財戦略の立案と実践

知財を効果的に活用するための戦略立案方法についても具体的な事例を紹介いただきました。

  1. 現状分析: 自社の知財資産を整理し、強みと弱みを把握することが最初のステップです。
    具体例: ある製造業の企業が、自社の特許ポートフォリオを詳細に分析しました。この過程で、既に市場での競争力を失った特許や、今後の事業戦略に合わない特許が多数含まれていることが判明しました。これらの特許を売却することで、約5000万円の資金を調達し、新しい技術開発に投資することができました。
  2. 戦略目標の設定: 知財を活用して達成したい具体的な目標を設定します。
    具体例: ある日本の中小企業が、グローバル市場での競争力を強化することを目標にしました。この企業は、国際特許を取得することで海外市場にも積極的に進出し、欧米市場における販売網を拡大する計画を立てました。結果として、国際特許の取得がブランドの信頼性を高め、現地のパートナー企業との提携がスムーズに進みました。
  3. 実行計画の策定: 知財取得、管理、活用の具体的なステップを詳細に立案します。
    具体例: あるスタートアップ企業が、新製品の発売に合わせて商標登録を行いました。この企業は、製品名やロゴデザインを商標出願し、徹底的なブランド保護を図りました。また、マーケティング戦略の一環として、商標登録済みのブランド名を積極的にPRし、顧客の認知度を高めました。これにより、製品の発売初月で目標の売上を達成し、ブランドの信頼性も高まりました。
  4. 実行と評価: 計画を実行し、定期的に評価・見直しを行います。
    具体例: ある大手企業が、製品や市場環境の変化に対応するために、年に一度知財戦略を見直しています。この企業では、知財の専門家チームが市場動向や技術の進展を継続的にモニタリングしています。例えば、知財チームは毎月市場レポートを作成し、主要な競合他社の特許出願状況を分析しています。これにより、新たな技術や市場トレンドを早期に把握し、自社の特許ポートフォリオを定期的にアップデートしています。結果として、新たな知財リスクの早期発見や、競争優位性の維持が可能となり、市場でのポジションを強化しています。

 

4.成功事例の紹介

セミナーでは、知財を活用して成功を収めた企業の事例が紹介されました。

  • 特許取得による収益化: ある中小企業が新しい製造技術の特許を取得し、大手企業とライセンス契約を締結しました。これにより、定常的なライセンス収入を得ることで、安定した収益を確保しました。また、特許を基に新製品を開発し、市場シェアを拡大することにも成功しました。
  • 商標活用によるブランド強化: ある企業が独自の商標を登録し、広告戦略と連携してブランド認知度を向上させました。この企業は、商標権を守るために競合他社との係争を経てブランドの独占使用を確立しました。結果として、ブランド力が強化され、顧客の信頼を獲得しました。
  • 著作権の保護と活用: あるソフトウェア開発企業が自社製品の著作権を取得し、他社が無断でソフトウェアをコピーして販売した際に法的措置を取りました。裁判所は企業側に有利な判決を下し、侵害者に対して賠償金を命じました。これにより、企業の知的財産権の重要性が再認識され、他の企業に対する抑止力ともなりました。
  • 意匠権による製品差別化: あるデザイン会社が独自の家具デザインを意匠登録し、それを模倣した他社に対して訴訟を起こしました。裁判所は企業の意匠権を認め、他社にデザインの使用禁止を命じました。この結果、企業は独自のデザインを守り、製品の差別化を推進することができました。

 

5.知財リスクの管理

知財リスクの管理についても重要なポイントが解説されました。知財侵害を未然に防ぐための対策や、侵害された場合の対応方法について具体的なアドバイスがありました。

  • 侵害リスクの回避: 定期的な知財調査と競合分析を行い、潜在的な侵害リスクを事前に把握します。
    例えば、ある企業が新たな技術を特許出願する前に、類似技術が既に特許化されていないかどうかを確認するために、定期的に市場調査と特許調査を実施しています。この企業は、知財専門のコンサルタントと連携し、競合他社の特許動向を継続的にモニタリングしています。これにより、競合他社が同様の技術を開発している場合には早期に察知し、適切な対策を講じることができます。
  • 侵害時の対応: 早期の法的対策と専門家への相談が重要です。例えば、ある企業が特許侵害を受けた際、迅速に知財専門の弁護士に相談し、侵害者に対して警告書を送付しました。その後、裁判に持ち込まれましたが、最終的に裁判所は企業側に有利な判決を下し、侵害者に対して損害賠償を命じました。この企業は、法的手続きを迅速に進めるために、内部に知財専門の法務チームを設置し、常に最新の法規制や判例を把握しています。

 

まとめ

今回のセミナーは、中小企業だけでなく、多くの企業、個人事業主やスタートアップにとって有益な情報が満載でした。知財の基本から戦略的活用、成功事例、リスク管理まで、具体的な内容が豊富で、新たな価値創造のヒントを得る貴重な機会となりました。

知財の力を最大限に活用し、自社の競争力を高めるための第一歩を踏み出しましょう。

 


■登壇者
東京都知的財産総合センター 知財戦略アドバイザー 弁理士
立花 範幾(タチバナ ノリキ)氏

 

■経歴

  • 化学メーカーの研究開発部門に20年、知財部に15年在席。
  • 研究開発時代には発明者として国内外で100件超の登録特許を取得、知財部時代には弁理士資格を取得し知財戦略立案等研究開発をサポートする。
  • その後、特許事務所に5年間在籍、スタートアップを含む多種多様な企業の支援経験を持つ。
  • 2022年4月から東京都知的財産総合センターの知財戦略アドバイザーとして、スタートアップや中小企業の知的財産支援に従事中。

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