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イントレプレナーシップを活用した社内新規事業創出と人材開発


2月18日(火曜)に実施したイベントの内容をお届けしています。気になっていたけど申し込めなかった、
OiFってどんなイベントをやっているのか等、気になる方は是非ご一読ください。


はじめに

つばさホールディングスでは、イントレプレナーシップ(社内起業家精神)を活用し、新規事業創出と次世代経営者育成に取り組んでいます。 経営者ゼミや新規事業提案制度を導入し、社員の新規事業化を支援。 本セミナーでは、そんなつばさホールディングスがどのような課題を感じイントレプレナーシップ(社内起業家精神)を開始し、どう制度を設計していったのかその実践事例を紹介頂きました。

セミナー後には、起業を目指している方、新規事業を立ち上げている方、今回のテーマにもあるイントレプレナーを目指している方などにピッチの場を提供する、ライトピッチも開催。

社内の新規事業創出や、社員の新しいリーダー誕生に課題を感じている企業にとって参考になるお話です。


1.イントレプレナーシップの必要性と導入の背景


日本企業は「2025年問題」に直面しています。70歳以上の経営者が245万人に達し、そのうち127万社が後継者不在です。つばさホールディングスは「社会になくてはならない100の事業と100人の社長を生み出す」ことを目指し、新規事業創出と次世代経営者育成に取り組んでいます。

登壇した代表取締役 猪股氏と人財開発部 新納氏は、このビジョン実現のためにイントレプレナーシップ(社内起業家精神)を活用した施策をつばさホールディングスで展開し、セミナーで紹介しました。


2. イントレプレナーシップ推進の取り組み


(1) 経営者ゼミ

つばさホールディングスでは、「経営者ゼミ」という社内研修プログラムを導入しています。

  • 期間:1年間(全12回)
  • 内容:経営に必要なスキル(会計、事業計画書作成、決算書の読み方等)を学ぶ
  • 目標:新規事業計画を策定し、最終的に役員に対してプレゼンを行い、事業化を目指す
  • 対象者:社内公募で選ばれた社員(将来的に経営者・事業責任者を目指す人材)

本プログラムは座学にとどまらず、ビジネスプランを策定し、役員のフィードバックを受けながら事業化を目指せる点が特徴です。

(2) 新規事業提案制度

もう一つの取り組みが、「新規事業提案制度」です。

  • 概要:社員が自由に新規事業案を提出し、役員審査を経て事業化を目指す
  • 報酬・特典:事業が成功した場合、事業の権利譲渡や持ち株制度などのインセンティブを検討
  • 対象者:社内外の人材も含め、広くアイデアを募集

この制度は社員の起業家精神を刺激し、組織のイノベーションを促進することを目的としています。

3.取り組みの成果と課題


(1) 成果

  • 初年度は事業化に至らなかったが、参加者の「起業家精神」が醸成された
  • 社内での新規事業創出の文化が根付いた
  • ビジネスリーダーとしての視点を持つ社員が増加

(2) 課題

  • 事業アイデアの創出数が少ない → 参加者の意識向上やゴール設定の明確化が必要
  • 離脱者が発生 → 仕事との両立支援やフォロー体制の強化が求められる
  • 役員審査に向けた準備不足 → プレゼン機会の増加やブラッシュアップの場の提供が必要

4. 今後の展望

今後、つばさホールディングスはイントレプレナーシップ(社内起業家精神)での育成をさらに進め、新規事業の創出を加速させる予定です。学生や外部人材との協業も視野に入れ、より多様な企業の形を模索しながら、社会課題解決型の事業を推進していきます。


ライトピッチ:実践的な事業アイデアの発表

1. 企業向け家事代行サービス(北口氏)

つばさホールディングス社員の北口氏は、共働き世帯の負担軽減を目的とした家事代行サービスを提案しました。

  • サービス内容:料理の作り置きと水回り掃除に特化 対象:企業の福利厚生として提供し、企業と従業員でコストを分担
  • 料金体系:1回2,400円(企業が4割負担、従業員が6割負担)
  • 価格設定の根拠:同業他社の価格設定に基づき、競争力を維持するために2,400円を設定
  • 企業側のメリット:従業員の生産性向上、採用力向上、離職率低下
  • 差別化ポイント:地域密着型の運営により、低コスト・高品質なサービスを実現

本事業は、企業の生産性向上や従業員のワークライフバランス改善に寄与することが期待されています。

課題

  • 家事代行スタッフの確保:質の高い人材の確保が必要。
  • 負担割合の調整:企業と従業員の負担バランス。
  • サービスエリアの拡大:地域密着型の利点を維持しつつ拡大。
  • リピート率の向上:満足度向上による継続利用の促進。

2. 女性トラックドライバー採用支援(中田氏)

中田氏は、中小規模の運送会社向けに女性トラックドライバーの採用・定着を支援する事業を提案しました。

社会課題:物流業界では労働力不足が深刻化しており、2030年には3割の物資が運べなくなると予測されているた
解決策:女性ドライバーの雇用を増やし、職場環境を改善する
支援内容:1年間は社員が現場に出向し、採用プロセスの支援と職場定着をサポート
収益モデル:月額30万円(うち23万円が出向社員給与、7万円が企業のマージン)

課題

中田氏は、中小規模の運送会社向けに女性トラックドライバーの採用・定着を支援する事業を提案しました。

  • 採用難のリスク:給与水準が業界平均と比べて低いため、適切な人材確保が課題
  • 定着率の向上:女性が定着するための就業環境の改善が必要なため、企業側との連携を強化
  • 事業モデルの持続可能性:長期的に収益を確保できるか検討が必要

本事業は、物流業界の持続可能な成長に貢献する可能性を秘めています。

3. 実践型スキル研修事業(小谷野氏)

小谷野氏は、若手社員向けの実践型スキル研修を提案しました。 対象はつばさホールディングスの2~4年目の社員。人事・財務・労務の専門スキルを実践形式で学び、即戦力を育成。 オンライン研修との差別化を図り、現場で活用できる内容を提供。

  • ターゲット:2~4年目の若手社員
  • 研修内容:人事・財務・労務などの専門スキルを実践的に学べるカリキュラム
  • 特徴:従来のオンライン研修とは異なり、即実践できるスキルの習得を重視。

課題

  • マネタイズモデルの確立:企業負担か個人負担かの決定が必要。
  • 指導者の確保:経営陣やグループマネージャーが講師を担当し、内容の質を担保。
  • 実践機会の提供:研修後のスキル定着を図る仕組みが必要。

この研修は、次世代の経営人材を育成し、企業の競争力を高めることを目的としています。


まとめ

本セミナーとライトピッチでは、社内起業家精神を活用した新規事業創出の重要性と具体的な実践例が紹介されました。社内での新規事業創出や人材育成に取り組む企業にとって、大きな示唆を与える内容となりました。 今後も、こうした取り組みを通じて、より多くの企業が新たな事業を生み出し、成長していくことが期待されます。

またライトピッチでも、発表後の質疑応答で鋭い質問も飛び出し、発表者にとってどんな部分に注目されるのか、どのように伝わるのか、伝わりにくい点はどこかピッチをしたからこそ見える部分もあったかと思います。



つばさホールディングス株式会社 代表取締役
猪股 浩行 氏














つばさホールディングス株式会社
人財開発部 社風人財開発グループ
アシスタントマネージャー
新納 明憲 氏















今後もOiF八王子館では様々な企画をご用意しております。
多摩地域等の中小企業の皆様にとって有益な情報を得られる場にしてまいりますので、
今後もぜひご参加ください。


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