製造業界において、従業員や顧客の積極的な取り組みが企業の成長に直結する時代となっております。そんな中、注目を集めているのが島田電機製作所(以下、島田電機)です。
その思い切った組織改革により、下請け町工場から一歩抜け出し、全国から注目される企業へと変化をとげました。
2013年に八王子へ本社を移転し、島田氏が社長に就任されたのを機に、島田電機は社員のモチベーションを改めて顧客とじっくり検討しながら、飛躍的な成長を実現しました。
どんな取り組みを実行し、どう成功を収めたのか、その秘訣を徹底的に解説します。
これから組織改革を考えている企業にとって参考になるお話です。
島田電機の改革のきっかけ①:旧態依然の古い町工場を大改革
島田電機の組織改革は、島田正孝氏が2013年に社長に就任した時から始まりました。それまでの島田電機は典型的な「町工場」スタイルに定着し、年功序列文化が色濃く残っていました。その結果社員の士気は低下し、業績も低迷していました。
島田社長が目指したビジョンは、「守る経営」から「攻めの経営」への移行。過去の慣習を打ち破り、組織の活性化を目指したのです。
当初の改革として、年功序列制度を廃止しました。そして当時の社員の約3分の2が退職する大きな試練となりましたが、島田氏はこれを「新たな人材を迎えるチャンス」として捉えました。その結果、島田氏の価値観や目指すビジョンに共感する若手社員が集まり、活気ある組織の基礎が築かれました。
島田電機の改革のきっかけ②:下請けからの脱却、海外への挑戦
島田電機が組織改革を成功させたもう一つの取り組みは、「下請けからの脱却」を目指し海外へ挑戦をしたことです。
改革をすすめ、ある程度島田電気の経営が安定したタイミングで島田社長は海外への挑戦を決めました。
その背景には、当時の中国は建設ラッシュの真っただ中で、中国国内のエレベーター需要が世界のエレベーター需要の6割、7割と言われ、半ば外貨獲得、出稼ぎの心つもりで挑戦をしました。
しかし、そこで日本との職務、文化、習慣や価値観も違う中国で経営をしていく中で、対話の重要性を学ばれました。
しっかりと意思疎通を図り、伝わりやすく、わかりやすい言葉でコミュニケーションをしていく重要性を感じ、今日までの島田電機の改革のきっかけとなりました。
工場見学会の成功と広報活動の戦略
島田電機の取り組みの中で特筆すべきなのが「工場見学会」です。島田電機の工場見学は「日本一予約が取れない見学会」として広く知られ、全国から多くの企業が訪れます。これにより、社員が会社の製品や活動について説明する機会が増え、社員自身主体性の向上に繋がっています。
全社員の3分の2が見学アテンドを担当し、自社の魅力を伝えることで、誇りを持って働ける環境が整っています。
また、広報活動においても独自の戦略を展開。商品やサービスのPRではなく、企業の決意や理念を発信する「コーポレートPR」に注力しています。
このアプローチにより、売上向上を超えた企業価値の向上を実現。結果として島田電機は多くのメディアに選ばれ、ブランド力を高めることに成功しています。
島田電機が目指す未来と他の企業へのメッセージ
島田電機の改革から学ぶ最大の教訓は、「企業は人なり」ということです。組織の変革は、経営者の意識改革から進みます。これからの時代は、「人を管理する組織」から「人が自主的に貢献する組織」への移行が求められるのです。
島田電機のように、社員が働く喜びを感じ、顧客がファンとして企業を応援するような組織を目指すことが、多くの企業にとっての課題となっていますが、島田電機の事例を参考に、組織改革の第一歩としてください。
まとめ:成功のカギは「社員と顧客をファンにする」こと
島田電機の事例から明らかなように、社員の取り組み向上と顧客との関係の強化が企業の成長を加速させます。今までにない、これからの企業経営における新しい考え方となります。
同社の取り組みは、人を大事にするという点から製造業に限らず、様々な業界にも応用可能な事例です。従業員と顧客の心を掴む組織づくりが、今後の企業の成長のカギとなることでしょう。
株式会社島田電機製作所 代表取締役社長
島田正孝氏
・21歳で島田電機の関連会社に入社し、日立の工場へ3年間出向する。
・その後は24歳で島田電機に入社、旧態依然の古い町工場を大変革。メーカーとしてさらなる自立を目指して中国へ進出、現地法人を設立。
・現在は、人中心の組織づくり、ファンづくりに情熱を傾けており、働きがい・エンゲージメントを重視した経営を、真面目に楽しんでいる
◆ポリシー
・過去や常識にとらわれない/自分らしく挑戦
◆ミッション
・熱意をもって働く人を増やす
・人中心の仲間的組織をつくる
・会社を”おもしろく”進化させる
OiF八王子館では今後も様々なイベントを企画してまいります。
多摩地域等の中小企業の皆様にとって有益な情報を得られる場にしてまいりますので、今後もぜひご参加ください。