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企業に新たな動きをつくるコツ ~まずは小さくはじめてみる~


新規事業立ち上げなど新しく何かを始めたいけど、0→1(ゼロイチ)の部分で引っかかってしまい何をすればわからない・・・
そんな方に向けて、企画のプロがやりたいことを形にする「コツ」をお伝えするセミナー。
「まずは小さくはじめてみる 変わらない日常から抜け出す0→1実践ガイド」の著者、大木浩士氏を迎え、大手広告会社やコンサルティング会社で長年プロジェクト推進リーダーを務めてきた知見を活かし、製品開発や新規事業開発プロジェクトの立ち上げ・課題解決において、「まずは小さくはじめてみる」ことから軌道に乗せていく手法を解説していただきました。

<講師紹介>
OOKIWORKS・代表/プロジェクトアドバイザー/企画プロデューサー
栃木県出身、埼玉県在住。
博報堂や船井総研などで長年、課題解決の企画づくりやプロジェクトづくり、人材育成の仕事に従事。
2016年には自身が立ち上げた教育事業が、経済産業省の教育アワードでグランプリを受賞。
2022年に独立。
現在は中小企業を対象に、人的資本経営を支援するための人材育成支援や組織風土改善支援、企業の課題解決に向けたプロジェクト創出支援を行っている。
人や組織の強みを引き出し、対話型の場づくりを通して活性化させることが得意。
東京都市大学・宇都宮大学の非常勤講師、とちぎ未来大使、中小企業診断士、出羽三山の山伏などの顔も持つ。
著書に『まずは小さくはじめてみる~ゼロイチ実践ガイド~』『博報堂流・対話型授業のつくり方』『プレゼン指導の基礎ガイド』がある。

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■目次
1.0→1の壁~新しいことを始めたいけど、何からどう進めればよいか
2.企業の取り組み事例
3.「新たな動きをつくるコツ」とは
  ①社員の思いを起点にする
  ②まずは小さくはじめてみる
  ③発想を生み出す会議のコツ
4.まずは小さくはじめてみて軌道に乗せる
5.最後に
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1.0→1の壁~新しいことを始めたいけど、何からどう進めればよいか​​

新たな事を始めたいと考えても、最初の一歩をどう踏み出せば良いか分からない。
これは「0→1の壁」と呼ばれる課題です。個人だけではなく、企業においても、この壁は大きく立ちはだかります。
しかし、この壁は見方や手段次第で確実に超えられるものです。実際の企業の取り組み例や実践的なコツを解説します。

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2. 企業の取り組み事例

セミナーでは取組事例が3つありましたが、ここではそのうち一つをご紹介。

■挑戦する企業風土をつくり、社員の主体性を高めたい~新潟県の製造業E社の場合

社員が自ら課題を見つけ、それを解決する文化を築いてほしい。
そんな社長の考えをカタチにするため、社員への個別ヒアリング、課題とアイデア出しミーティングを経て社員のプロジェクトチームを立ち上げました。
そしてプロジェクトメンバーが選んだテーマを社長にプレゼン!
正式に承認を得て取り組みました。

取り組み内容と結果の一部をご紹介すると・・・
・SNSの活用 → 情報発信で会社をアピール
・不良品検品の情報共有会 → 検品時の疑問点やモヤモヤを解消、不良品の事例ファイル作成
・金型置き場を決めて時間のロス削減 → 金型の置き場に棚番を振ってわかりやすく
・新商品の開発 → 新しい絵柄のデザイン作成
などなど7項目。
小さな試みから取り組みを続けた結果、プロジェクト開始前後で社員アンケートを取ってみたところ、アイデアを考えたり挑戦することへの意識や仕事に対する前向き度が大幅に向上したという結果に!
社員の挑戦意識が大きく向上しました。

その後もプロジェクトは継続しており、新たに小さなルール作りやマニュアルの整備、社給防寒着の導入などを実現。自らが主体的に動くことで、社員の皆さんはアイデアが形になる驚きと喜びを得るようになり、コミュニケーションの機会が増えることで、それぞれの個性の発見もできたそうです。





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3.「新たな動きをつくるコツ」とは

新たな動きをつくろうとする際に直面する悩みとして、
「社長の思いが社員に届かず、社員がついてこない」
「話し合いだけが続いて、なかなか成果が出ない」
「社員から意見が出ず、会議が活性化しない」
などといったことが良くあります。皆さんも経験したことがあるのではないでしょうか。

①社員の思いを起点にする

まず「社員がついてこない」といった課題にはどう向き合えばよいか。
それは、社員の「やりたい」「変えたい」という思いを起点にすることです。これによって「やらされ感」から脱却して、社員自身が挑戦するという文化を築くことが可能になります。
小規模なプロジェクトや、徹底したヒアリングの実践が鍵になります。
E社では、社員が持つ課題意識を解き明かすために個別インタビューを行い、そこから出た意見やアイデアを実践につなげていきました。

②まずは小さく始めてみる

次に「なかなか成果が出ない」という壁をどう乗り越えるか。
大きな課題は、小さな部分に分解することで初めて解決の道筋が見えてきます。
取組事例で出た会社では、まずは0を1にする、つまり早いタイミングで、目に見える成果(変化)をつくることから始めました。
最初の成果を出すタイミングは2~4か月後を目安とし、まずは
・どう動けばよいかわかるもの
・実現のイメージが持てるもの
・自分たちだけで始められるもの
といった「できて当たり前の簡単なこと」から着手し始めて、企業の取り組みを持続可能なものにしていきます。

本セミナーのテーマの柱となる部分なので、まとめると、
・100を達成したいなら、まず0を1にする
・小さく実績をつくり、その活動の実績を足掛かりに、動きを少しずつ大きくしていく
・できて当たり前の目標設定をつくる
・大きな課題は具体的で簡単なことに小さく分解する、抽象的な課題は具体的に分解する
・「いつかやりたいこと」より「今できること」から始める
・まず形にしてみて、目的や進め方の修正をしながら企画を育てていく
・人は「成果がでたもの」に関心を持つので、まずは「小さくても確実な成果づくり」からはじめてみる


ここではすべてを書きませんが、こういったことが「まずは小さくはじめてみる」の要素です。
言われてみると「確かにそうだな」と思った人も多いと思いますが、いざ自分の現状を振り返った時に、逆を行っている場合が多くないでしょうか。
一度チェックしてみると良いかもしれませんね。

③発想を生み出す会議のコツ

そして、「会議が活性化しない」悩みについて。

意見が出にくい会議を活性化させるには、自由に意見を出せる環境作りが必要です。
アイデアや発想を生み出す会議にするには、人数と時間を絞る、アイスブレイクから始める、といった進行上の設定も考える必要がありますが、
・話し合いのルールを共有する(正解はないので批判や否定をしない、リアクションを大切に、など)
・拡散と収束を分ける(脱線や思いつきでもよいのでたくさん考える、そのあとに絞り込む)
・事前課題を出しておく(個人で考える機会を作る、事前課題は1つに絞る、など)
・記録に残す(言いっぱなしで終わらない)
ということを心がけるべきことであると、大木さんからお話ししていただきました。


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4.まずは小さくはじめてみて軌道に乗せる

どのような挑戦も、最初は小さな一歩から始まります。
「0→1」を実現するためには、課題を小さく分解し、小さな成功体験を積み重ねることが重要です。この積み重ねによって新たなアイデアが生まれ、これを繰り返すことで企業の成長や変革が加速します。

企業に新たな動きをつくるためのコツとして、大木さんは
・人は皆、個性が異なる
・長所を引き出し、伸ばす(個性や長所の発揮は、喜びにつながる)
・楽しさをつくる(楽しくないと、人は取り組もうと思わない)
・活動の継続が大きな成果につながっていく
といったことを心がけて取り組んでいるそうです。

特に経営者やプロジェクトリーダーが意識すると新しい取り組みを軌道に乗せることに大きく役立つと思います。

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5. 最後に

大木さんはいろいろな企業に招かれて、課題解決のアドバイスを行っていらっしゃいますが、今回は著書「まずは小さくはじめてみる 変わらない日常から抜け出す0→1実践ガイド」の内容だけでなく、大木さんの経験や知見も踏まえて、お話しいただきました。


「やりたいこと、やらないといけないことをいくつも抱えているのに、どう進めればよいのかわからない」「プロジェクトを立ち上げたものの全然前に進まず、軌道に乗っていかない」「成果が出る兆しが見えない」
―誰もが経験したことがある悩みを解決する進め方や組織/人の動かし方。言われてみれば確かに!ということも、言われなければ気づかないことって多いですよね。
そんなエッセンスやノウハウを、たくさん披露していただきました。
大木さん、ありがとうございました!
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今後もOiFでは、様々な内容のセミナー、イベントを企画してまいります。
皆様のご参加をお待ちしております。



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