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新しい時代のものづくり 中小企業におけるカーボンニュートラル


国連が「地球温暖化は終わり、地球沸騰化の時代が始まった。」と述べる中、環境課題への取り組みは海外だけでなく、日本国内でも必要とされています。
その取り組みは、大企業に限らず、中小企業も例外ではありません。

本研修では経済産業省 関東経済産業局から講師をお招きし、ものづくり企業におけるカーボンニュートラルをテーマに、カーボンニュートラルを推進するために何から始めればいいか、補助金の活用法、国や自治体との連携方法など環境問題に取り組むために必要な情報をお話しいただきました。

<講師紹介>
経済産業省関東経済産業局 カーボンニュートラル推進課 阿部純也氏
※当初、加藤拓麻氏が登壇予定でしたが、諸事情により阿部氏に代行していただきました。

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■目次
1.日本の温暖化対策事情
2.企業が環境問題に取り組むメリット
3.ものづくり企業のカーボンニュートラル共創事例、推進事例
4.ものづくり企業がこれからカーボンニュートラルに取り組むための最初の一手
  ~補助金の活用方法、国や自治体との連携方法
5.最後に
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気候変動がもたらす影響が世界中で叫ばれる中、日本の産業界も「カーボンニュートラル」の実現に向けた歩みを進めています。
特に、ものづくり企業にとって、この取り組みは社会的責任だけでなく、ビジネスチャンスにも繋がる重要な課題ですね。

1.日本の温暖化対策事情​​

日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを達成するため、様々な取り組みを進めています。その中で特に注目すべきポイントは以下の3点です。

・大規模な投資支援
 政府は今後10年間で約20兆円規模の資金を投入し、省エネ・再生可能エネルギー技術の開発や導入を支援。これにより、企業の負担を軽減しながら脱炭素化を促進しています。

・具体的な支援策
 省エネ補助金: より省エネ性能の高い設備への更新を補助。例えば、LED化や電化設備の導入が対象となります。
 IT導入補助金: エネルギーマネジメントシステムなど、排出量の「見える化」を支援するツールの導入を補助。

・中小企業の重要性
 中小企業は日本全体の温室効果ガス排出量の1~2割を占めています。この割合は決して小さくなく、取り組みの拡大による全体的な効果が期待されています。
 特に取引先やサプライチェーンから脱炭素への対応を求められるケースが増えていることも、企業の行動を後押ししています。

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2. 企業が環境問題に取り組むメリット

環境問題への対応は、単なる社会的責任に留まらず、企業の競争力や収益性向上に直結する要素となっています。

・取引機会の拡大
環境への配慮が進んだ企業は、大手企業のサプライチェーンに選ばれる可能性が高まります。特に国際市場では、環境基準を満たさない企業がビジネスから排除されるリスクもあり、脱炭素化はもはや「選択肢」ではなく「必須条件」と言っても良いでしょう。また、将来的な環境規制や脱炭素対応の要請を前倒しで満たすことで、規制不適合による事業リスクを軽減することにもなります。

・コスト削減効果
例えば、ある製造業者がLED照明を導入したことで、年間41万円のエネルギーコストを削減。
さらに、省エネ設備や効率化ツールの導入で、長期的な運用コストの削減が可能になります。
太陽光発電や自家消費型エネルギーといった再エネ活用で、電力価格の高騰リスクも回避でき、費用安定化にもつながります。
補助金や税制優遇の活用も視野に入れたいところ。環境対応設備の導入時に国や自治体の補助金を利用することで、初期投資負担を軽減することも可能です。

・ブランド価値の向上
環境対応への積極的な取り組みは、顧客や投資家からの評価を高め、企業ブランド価値を向上させます。
脱炭素を推進する企業は、環境・社会・ガバナンス(ESG)投資家からの注目を集め、資金調達の円滑化が期待できますし、カーボンフットプリントを明示した製品が、環境配慮を重視する消費者に選ばれる傾向も最近は強く見られます。


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3.ものづくり企業のカーボンニュートラル共創事例

カーボンニュートラルへの取り組みを進めるものづくり企業の中には、優れた成果を上げた事例も多く存在します。以下がその事例です。

1.  金属加工業を営む中小規模の町工場A社(神奈川県)
 •  取り組み内容:
  工場内のLED化を推進し、年間エネルギー使用量を大幅に削減
  太陽光発電設備の導入により、再生可能エネルギーの活用を推進
  省エネ性能の高い設備への更新を段階的に実施
 •  成果:
  CO2排出量を52%削減(計画ベース)
  年間電力コストの66%削減に成功し、浮いた資金を新規設備投資に再投資
  地域社会からの信頼向上や新規取引先の開拓に成功

2.  自動車部品向けの熱処理加工を中心とした製造業B社(埼玉県)
 •  取り組み内容:
  環境負荷の高い従来技術を刷新し、炎を使わない真空浸炭技術を開発
  工場内のエネルギー効率向上を図るための専用設備を導入
 •  成果:
  新技術がCO2排出量の大幅削減に寄与
  環境意識の高い顧客からの受注が増加し、事業規模を拡大
  投資額に対して高い費用対効果を実現

3.  金属プレス加工を主力とする製造業C社(栃木県)
 •  取り組み内容:
  最新型プレス機械の導入にあたり、省エネ補助金を活用
  導入機器は、省エネ効果と生産性向上を両立
 •  成果:
  1億2000万円の投資に対し、3700万円の補助金を獲得
  年間エネルギー使用量が20%以上削減
  電力価格高騰への備えが進み、収益性の向上に寄与

これらの事例に共通する成功要因として、
・設備更新にあたり、省エネ補助金や税制優遇を積極的に活用したこと
・自社のエネルギー消費を「見える化」し、改善すべきポイントを明確にしたこと
・自治体や地域の産業団体と協力しながら、持続可能な成長を目指したこと
が挙げられます。

また、ものづくり企業の事例を見ると、身近なことから着手し、長期的な視点で段階的な設備投資で改善を進めていることがわかるかと思います。


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4.ものづくり企業がこれからカーボンニュートラルに取り組むための最初の一手

カーボンニュートラルの実現に向けたステップは以下の3つに分けられます。
1)知る
 ・中小企業基盤整備機構のオンライン相談窓口などを活用し、GX(グリーントランスフォーメーション)や脱炭素施策への理解を深める
 ・セミナーや説明会の参加で情報収集を進める

2)見える化
 ・自社の排出量(スコープ1, 2)の算定により、エネルギー起源の排出状況を把握
 ・無料の排出量計算ツールや専門家による省エネ診断の活用

3)減らす
 ・補助金を活用した省エネ機器の導入や、再エネ利用の推進

LED化のような身近な取り組みから始めるだけでも、脱炭素への第一歩となりますね。

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5. 最後に

カーボンニュートラルへの取り組みは、ものづくり企業の将来に影響を与えるテーマです。取り組むにはハードルが高く感じるかもしれませんが、一方で企業の競争力を高め、新たな価値を創出するチャンスでもあります。まずは現状の把握と具体的な計画の策定から、第一歩を踏み出してみるといいかもしれませんね。

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今後もOiFでは、様々な内容のセミナー、イベントを企画してまいります。
皆様のご参加をお待ちしております。



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