『令和6年最新版 DXによるソリューション〜AI時代で未来はこう変わる〜』
講師:DXコンサルタント/日淺光博さん
2024年1月18日開催したイベントのレポートをお届けします!
【登壇者】
日淺 光博 氏
DX専門コンサルティングファーム・株式会社日淺代表取締役
DXコンサルタント
大学卒業後、ベンチャー企業2社でITコンサルティングを経験。
2012年に起業。財団法人九州経済調査協会アドバイザー、三越伊勢丹グループ会社顧問、東京創業ステーションコンシェルジュなどを歴任。
DXコンサルタントとして、2019年から70社以上のDXプロジェクトに関わり、現在に至る。
会場参加のほか、オンラインでも参加可能なイベントでした。
開場時間となり、OiF国分寺館のセミナールーム、オンラインそれぞれへ参加者が入場されました。
いよいよイベントの開始です。
【日淺さん】
今日のセミナーでは、AIでこれから未来がどう変わるか、
中小企業では、その変化に向けてどのように準備をスタートさせていけばよいかというテーマで、
次の2点を、今回の「目的・ゴール」としてお話しします。
■目的・ゴール
1.デジタル技術の進展がビジネスに与える影響を理解してもらう
2.中小企業がデジタル変革にどう取り組むべきかの理解を深めてもらう
1.AIとデジタル技術がもたらすビジネス環境の変化
・AIとデジタル技術の現在の影響
【日淺さん】
AIによって我々のビジネス環境にもたらされる影響として考えられるものが3つ挙げられます。
①業務プロセスへの影響
AIによる業務プロセスの自動化は、時間とコストを削減し、効率を高めます。
②顧客体験への影響
AIは顧客データを分析し、カスタマイズされた推奨や予測を提供します。
③ビジネスモデルへの影響
デジタル技術は新しいビジネスモデルを生み出し、未開拓市場へのアクセスを提供します。
AIによる以上のような影響が、まさに今現在、日々起こっています。
【日淺さん】
軽くAIについて説明します。
・AIブームの歴史と現在について
AIブームはこれまで3回訪れています。
1958年: 人工知能研究の始まり
2007年: ディープラーニング発表、第三次AIブーム(機械学習・表現学習)
2023年: GPT-4発表、第四次AIブーム(生成AI)
現在、ChatGPTがビジネスシーンで浸透し、年内にGPT-5のリリースも期待されています。
OPEN AI ・GPT-5リリースでどう変わるか
【日淺さん】
GPT-5のリリースにより、例えばWeb会議での同時通訳など高度な作業がAIでできるようになり、表のような様々な場面での活躍が予測されます。
経営者は従業員とAIのどちらを採用するか選択する時代が到来します。
また、経営者自身についても、AIを使いこなせる経営者とそうでない経営者では、経営判断のスピードに大きな差が生じます。
現時点でも、AIを活用している企業とそうでない企業の間には差が生じています。
・ビジネス環境に影響を及ぼすデジタル技術
・AIとデジタル技術の具体的なビジネス応用例
【日淺さん】
表②の技術の組み合わせで、表③のようなことがビジネスに応用できるようになります。
顧客に合わせておすすめのサイトが変わったり、リモートでサービスが受けられたり、物流会社からSNSに事前に配送連絡が届いたりといった、身近なところから取り入れられています。
AIで変わる未来
【日淺さん】
AIの応用がものすごく進み、各分野でAIを活用することで、表④のような様々な変化が期待されています。
10年前ならこのような話は現実味にかけたものでしたが、今は「なんとなくありそうだな」と想像がつくくらい技術革新が起こってきています。
それはAIが我々の身近になってきているということです。
現代ビジネスモデルの5つのトレンド
【日淺さん】
では、AIを使ってどんなことがビジネス的にできるのかをご説明します。
これから会社の中でイノベーションを起こしていくなかで、よく取り上げられる現在のビジネスモデルの5つのトレンドがあります。
・サブスクリプション
・プラットフォーム
・パーソナライゼーション
・D2C(Direct-to-Consumer)
・シェアリングエコノミー
これからAIを使ってイノベーションを起こそうと考えた時、これらのビジネスモデルが今後、伸びていくトレンドであるという事を押さえていただければと思います。
2.中小企業に適したDXのアプローチと実践方法
【日淺さん】
今までAIがもたらす技術革新や未来予想の話をしましたが、準備もなくAIを導入できません。
中小機構が昨年令和5年10月にとったアンケート結果から、3社に2社はDXの必要性を感じているが、半分の企業では、進め方がわからないなど悩んでいる状況です。
DXに関する誤解
【日淺さん】
DXへの期待値が高い分、表⑤のような誤解が起こりやすく、
最大の誤解は決裁権を持つ経営者が「会社経営自体をDX中心にしなくてはならない」と考えてしまう事です。
このような誤解をされたままDXを導入してもうまくいきません。
とはいえ、将来の会社の成長のためにDXの導入は不可欠です。
DXを進めるための3つのポイント
【日淺さん】
DXを導入する前に、DXを進めるための3つのポイントを押さえていただきたいと思います。(表⑥)
DXを進めるための社内での役割
【日淺さん】
前述の「DXを進めるための3つのポイント」ですが、社内の立場によって価値を感じるポイントがそれぞれ違います。(表⑦)
この点を理解しておかないと、DX導入における企業の意思決定に支障が出る場合があります。
中小企業向けの実践的なDX戦略(5Xアプローチ)
【日淺さん】
DX導入をお勧めするうえで、わが社では「5Xアプローチ」という手法を開発して採用しています。(表⑧)
5XとはAX、BX、CX、DX、そしてEXの5つのトランスフォーメーションのことです。
【5Xとは(DX除く)】
AX(アチーブメント):何を成果とするか、何を達成するか
BX(ビジネス):ビジネス。内部的な業務効率を上げていく
CX(カスタマー):顧客管理、マーケといったお客様に関わるところ
EX(エデュケーション):社員教育
【日淺さん】
Aから順番に進めていかないとDXは進みません。
DX導入には、会社の経営戦略や各部署の課題を明確にし、足元の基盤をしっかり整え、変化に適応できる社員教育を同時並行で進めていくことが、中小企業におけるDX戦略を成功させるポイントになるとおもいます。
小さく始める
【日淺さん】
DX化は小さく確実に踏み出したほうが良いです。
それぞれの部署での課題がわかっていれば、どこから手を着けたらよいかが見えてきます。
各部署の課題解決にあったツールやシステムを導入して経験値をあげていきましょう。(表⑨)
3.競争力を高めるためのデジタル戦略の具体例
【日淺さん】
DX導入がうまくいくと、将来的に次の展開が期待できます。
① 顧客満足度を最大化することでお得意様を獲得できます。
② データの適格な分析により、リスクを抑えビジネスチャンスを最大化できます。
③ 市場の変化に柔軟かつ迅速に対応でき、持続的な競争優位性を確保できます。
4.セミナーのまとめ
【日淺さん】
本日のセミナーのまとめです。
1,いやおうなく変化していくデジタル技術に対して、常に自社の足元を固めておくことが大事です。
2,DXはあくまで、経営戦略のうちの一つのステップでしかありません。
3,小さく始めて、自社の基盤を整えておくことで、変化していく社会に対して対応できるようになります。
また、ケーススタディとしまして、経済産業省の「DXセレクション2023」をご参照ください。
DXセレクションとは、経済産業省がDXに取り組む中堅・中小企業等のモデルケースとなるような優良事例を選定して紹介するものです。
リンク先に2023年の20企業の事例が紹介されていますので、ぜひ参考にしてください。
本日の講義は以上になります。
■質疑応答
ここから、参加者との質疑応答になりました。
オンライン参加者から「DXに無理解な経営者に、DXの知識をつけてほしい!」という感想をいただきました。
会場、オンライン参加者からの質問を待つ間、司会者から日淺さんへ質問が出ました。
司会者:経営層の理解が現場に伝わらない、逆に現場はもっとコンピューターとかソフトウェアを入れれば
仕事が楽になるはずなのに・・というようなミスマッチはなぜ生まれるのでしょうか
日浅さん:普段触れている情報の違いがあると思います。
経営者は日経ビジネスなどで触れている成功例を見ている。
現場の社員は友人・知人の会社との違いをどうにかしたい。
経営者と社員ではDXに求めるものが違うので、
その間にDX担当者やコンサルタントが入って、話を翻訳してあげないと
いけないのですが、それがうまくいかないとDX化が進まなくなってしまいます。
司会者:何のためにDX導入するかという、目的の理解とビジョンをどう合わせていくかが、
かなり重要な点になりますね。
オンラインで「ChatGPT」についての質問が入りました。
オンライン参加者:有料版のChatGPTの価値について教えて下さい。
日淺さん:クライアントにも有料版を勧めています。
というのも、無料版が3.5、有料版が4になります。
この差は、文章の生成でいうと3.5が小学生レベル、4が大学生レベルくらいの
違いがあります。
有料版ではちゃんと文章が書けたり、簡単なコードがかけたりします。
GPT-5ではその差がさらに大きくなるので、まずは有料版の4を
触っておいてほしいです。
補足すると、Googleが「Googleバート」という生成AIのベータ版を
無料で出しています。
これは4まではいかないけれど、3.8か3.9くらいのレベルで、検索をしてくれます。
有料版を躊躇するなら、こちらをお勧めします。
会場参加者:中小企業様にデジタル技術の導入を推進しているのですが、
ほとんどの中小企業様の社内にリテラシーのあるリーダーがいないというのが
課題だと感じています。
数名から数十人規模の中小企業がDX化を進めるうえで、まずこれからという、
導入を勧めるプロダクトなどがあれば教えてほしいです。
日淺さん:導入事例の多いものというのがポイントになってくると思います。
初めてDXを取り入れる企業様には、
全社員に関係する「経理」「人事」「給与」を押さえましょう、とお話しします。
この分野はサービスが淘汰されているので、選びやすいというのが
勧めるうえで大きなアドバンテージになります。
オンライン参加者:「DALL·E(ダリ)3」について教えて下さい。
日淺さん:OpenAIの新しい画像生成AIですね。
個人的な見解で言いますと、個人で使う分には使いやすいかと思いますが、
ビジネスシーンでは使いづらいです。
「Googleバート」はGoogleの検索データベースがもとになっているので、
Googleの検索に近い体験が補足されているのが特徴になります。
ここで、質疑応答は終了になりましたが、
イベント終了後も日淺さんは会場に残って、会場参加者からの質問に気さくに答えてくださいました。
参加者の皆さんも、和気あいあいとした有意義な時間になったともいます!
また、当日会場参加された方には、日淺さんから著作の
『難しい話はもういいんでDXがうまくいく方法だけ教えてください』のプレゼントがありました!
快くサインにも応じてくださいました。
日淺さん、ありがとうございました!
OiF国分寺館、2階・コワーキングスペース/ワークルームのライブラリに設置していますので、
コワーキングスペースご利用の際は、お手に取ってくださいね。