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食品ロス削減で地域もビジネスも元気に!カレーで社会課題を解決する「MOTTAINAI BATON」の挑戦


豊かな社会になり、食品ロスは今や社会問題となっています。ただ、それを地域企業としてどうやって解決するかとなると難問になります。
そんな中、「レトルトカレー」という斬新なアイデアで、食品ロス削減をビジネスに変えた会社があります。「MOTTAINAI BATON株式会社」です。

2024年11月23日に開催された目取眞 興明(めどるま こうめい)氏 のセミナーでは、その取り組みが紹介されました。本記事では、そのエッセンスをわかりやすく解説します!


目次

  1. 「もったいない」をビジネスに変えた理由
  2. レトルトカレーが食品ロス解決の秘密兵器
  3. 具体的なビジネスモデルの仕組み
  4. 成功事例:地域と教育現場の連携


1.「もったいない」をビジネスに変えた理由

目取眞氏が「食品ロス」に取り組むきっかけは、幼少期の経験にあります。 沖縄で育った目取眞氏。
食べることが大好きないわゆる「くいしん坊」でしたが、目取眞氏の家庭は、経済的に余裕があるわけではありませんでした。 「食べ物さえあれば心も体も豊かになる」という信念のもと、お母様が毎日工夫を凝らして食卓を支えていました。
大好きな食を通じて目取眞氏は「生活を支え、豊かな時間を与えててくれた」ことを実感しました。
この経験が、後の事業構想の原点となっています。


学びと経験が生まれた視点の転換

食に対する強い思いから大学では「食料環境経済学」を学び、農産物が生産者から消費者に届くまでの「バリューチェーン」について深く学びました。
卒業後、調剤薬局や農業ベンチャー企業での勤務で得た地域との交流を経て、「地域の食材や人々とのつながり」という意識が強くなった目取眞氏にとって「新たなチャンスに変えられないか」と考え、起業に踏み出しました。

世界と日本の食品ロス事情とMOTTAINAI BATONの活動

食品ロスとは、本来食べられるのに廃棄される食品のことを指します。世界で栽培、生産される全食品の内、約40%にあたる25億トンの食品が年間で廃棄されており、日本では約420万トンの食品ロスが発生しています。
日本の廃棄ロスの内訳は事業系食品ロス・家庭系食品ロス共に236万トン。合計472万トンにのぼります。

※事業系ロス:製造過程で出た端材(未活用品)や季節商品。傷や大きさの違いで市場に出ない規格外商品など
※家庭系ロス:賞味期限切れや調理の過程で出た端材など

世界全体の食品援助量、400万トンを超える廃棄が発生しています。
また、コンビニで1店舗当たりの年間廃棄金額は、民間給与所得の平均値より高くなっており、現代社会でいかにもったいない食材があふれているかわかります。

そういった食品ロスに対して「MOTTAINAI BATON」に込められた意味は・・・

  • 「MOTTAINAI」:本来の価値が発揮されていないもの→カレーの力で解決
  • 「BATON」:生産者と消費者とより良い未来を繋ぐ架け橋となる

もったいない食材のカレー化で地域の課題を解消する会社として活動を行っています。


2.レトルトカレーが食品ロスの秘密兵器


レトルトカレーの3つの強み

  1. どの食材とも相性抜群
    肉や野菜はもちろん、魚や果物・お菓子類など、食材や地域の個性をいかすことができます。
  2. みんなが好きな国民食
    子供から大人も楽しめる万能食品。カレーはみんなが好きな食べ物で、多くの方に楽しんでもらえる食べ物です。
  3. 世界共通で食べられている
    日本だけでなく世界中で愛される食べ物でカレーは言語不要で楽しめます。

「カレーはどんな食材にも魔法をかけられる、闘う食品ロス解決の救世主」「レトルトカレーで世界を救うことができるのではないかと考えている」と目取眞氏は述べていました。


3.具体的なビジネスモデルの仕組み


「MOTTAINAI BATON株式会社」のビジネスモデルは、廃棄予定の食材を高い付加価値のある商品に変えることが特徴です。

規格外トマトの活用事例

例:100キロの規格外トマトがあります。

  • そのまま廃棄すると、廃棄コストが発生(60円/キロ)
  • 卸売すれば、約16,450円の売上(329円/キロ 原価率50%)
  • レトルト加工にすると、500,000円の売上(500円/食×1,000食 原価率60%)

加工費はかかるものの、「付加価値が高くなることで利益率が大幅にアップしています。
このモデルを活用し、「もったいない」を「新しい収益源」に変えています。


4.成功事例:地域と教育現場との連携


「MOTTAINAI BATON株式会社」は、地域特産品や未活用資源を活用し、食品ロス削減だけでなく自治体や観光産業と連携した地域の活性化や、教育機関と連携した食育効果もあります。
その中での成功事例をいくつかご紹介いただきました。

沖縄県のもずく農家:もずくカレー

毎年水揚げされるもずくの一部が冷凍保存され、その後廃棄されるという課題がありました。
目取眞氏は、地域の子供たちと協力し、この余ったもずくをカレーの具材として活用しました。「もずくカレー」は、ふるさと納税の返礼品として採用され、全国から注文を受けるまでに成長しました。

さらに、もずくを活用したことで地域経済が活性化し、もずく農家からも「食品ロスが収益につながる新しいモデルだ」と評価されています。

 

広島県の高校生プロジェクト:ぶどうカレー

広島県にある高校では、授業で生徒たちがぶどうを育てています。しかし、収穫量が多く、一部は消費されないまま余っていました。
そこで、余ったぶどうを活用したレトルトカレーを企画。開発プロセスに生徒が参加することで、単なる商品開発ではなく「実践的な学びの場」を提供しました。

 

鹿児島県の小学校:カレー開発で学校備品の投資

鹿児島県の小学校では、地元の特産品を使ったカレーの開発を行い、その売上を学校の備品購入費に充てる取り組みを行いました。児童はカレーの企画開発を学びながら、約2,000食を販売。得られた20万円の収益でサッカーゴールを新たに購入することができました。

このプロジェクトは、子供たちが地域資源の価値を学び、自分たちの力で学校の環境を改善する喜びを経験できました。その結果高い評価を得ました。

 

神奈川県の地域連携:教育・地域・企業の三位一体モデル

地域の郵便局やスーパー、大学とも連携。神奈川県の青葉台では、地域さんのはちみつを使った「はちみつカレー」を小学生が開発。食品ロス削減と地域活性化の両立を実現しました。

このように、単に商品開発に留まらず、「食品ロスを解決しながら地域や教育現場の課題も解決する」という取り組みが評価されています。


まとめ

「MOTTAINAI BATON株式会社」の取り組みは、食品ロス削減を軸に地域活性化や教育、さらにはビジネスとしての収益性を追求したモデルです。
目取眞氏が語るように、食品ロス削減は社会問題への対策だけではなく、地域の特性を考慮した新たな可能性を生み出す「社会資源の活用」です。課題を解決しつつ、経済や教育の発展にもふさわしいことを証明しています。
「レトルトカレーで世界を救う」非常に印象的なお言葉でした。

 


MOTTAINAI BATON 株式会社 代表取締役
目取眞 興明(めどるま こうめい) 氏

 







 

1990 年 12 月生まれ

  • 沖縄県那覇市出身 東京農業大学 国際食料情報学部食料環境経済学科卒 
  • 累計2,000食以上のレトルトカレーを食べているレトルトカレー研究家。
  • 食品ロスに関心を抱き、2018年7月から規格外品(野菜やお菓子など)の無料配布、料理専門家が調理するもったいないごはんとおやつを提供する、「もったいないまつり」を開催。
  • 2020年1月に農業のベンチャー企業を退職し、以前から好きだったレトルトカレーと"もったいない"を組み合わせて、少しでも"もったいない"がなくなるように、オンラインショップ「メドルマフーズ」を2020年5月から開始。
  • もったいない食材のカレー化で食品ロスを解消するをミッションに、2021年10月にMOTTAINAI BATON株式会社を設立。世界の食品ロス問題の解決に挑む。


今後もOiF八王子館では様々な企画をご用意しております。
多摩地域等の中小企業の皆様にとって有益な情報を得られる場にしてまいりますので、今後もぜひご参加ください。


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