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DX実践で成果を上げた方からのDX推進のヒント


12月13日、オープンイノベーションフィールド多摩 国分寺館で、社内DXをお考えの中小企業の皆様に向けて、DX推進のヒントを得ていただくセミナーを開催いたしました。
実際にDXを推進し成果を上げた旭工業株式会社の橋本明秀氏をお迎えし、取り組みに至った背景、具体的な取り組み内容、ビフォーアフター、取り組みを振り返った感想、これからDXを取り組もうと考えている企業に向けたメッセージなどをお話しいただきました。セミナーのポイントをレポートにまとめましたので、お読みください。


■講師紹介


旭工業株式会社 代表取締役
橋本 明秀(ハシモト アキヒデ)氏

経歴
・1970年9月9日生まれ
・埼玉県川口市出身
・専修大学商学部卒(文系)
・大学卒業後、交通信号・クリーンルーム製造施工会社へ入社
・1997年 旭工業株式会社へ入社
・2005年 旭工業株式会社 代表取締役就任(3代目)


■プログラム

・自己紹介
・なぜDXを推進したか
・具体的な取組の内容
・経営者としてどのようにかかわったか
・DX推進のビフォーアフター
・取組後の気づき、新たな課題など



■セミナーのポイント

【会社を変えてきた徹底ワード】
橋本氏は、以下の2点を従業員に徹底させました。
・やらなければいけないことはやらなければならない やってはいけないことはやってはいけない
・守ることを決めて決めたことは守る
結果、仕組み作りと、教育が強化されたことにより、全てDXに繋がっていきました。

【新たな付加価値創造へ】
橋本氏は、人に仕事がついている状態の「属人化」を会社のリスクと捉え、仕事が人についている状態の「標準化」や「仕組み化」を、DXにより「共有化」して「効率化」することにより、新たな付加価値創造を実現しました。

【経営の考え方】
経営の重要な要素「人」「物」「金」「情報」「時間」のほかに、デジタル技術を理解して適切に活用スキルの「デジタルリテラシー」が必要です。
橋本氏の会社では、「Change or Die」と「Fast eats Slow」をDXの本質としています。

【DXは社長が旗振り】
橋本氏の考えに、DXは社長が旗振りでなくてはいけない(特に100人以下の会社)があります。
その理由として、社長が担う3点を挙げました。
・社内のX(トランスフォーメーション)は社長しかできません
  作業技術に長けている人がDX担当となることで、提案は出来るかもしれませんが、決定できるのは社長。
・社長の仕事は「決定」と「チェック」
・社内文化と仕組の再構築は社長しかできません

【20年以上前からの取り組みにより今がある】
旭工業株式会社では、21年前から手書きの製造指示書というアナログ方式ながら、「マスター管理」という仕組みは出来ていました。その仕組みにより、後のデジタル化への移行もスムーズに出来ました。
18年前には、3拠点で同時接続した基幹ソフト生産管理システムの導入により、受注から出荷までの情報を、一元管理する事ができるようになりました。
5年前からのDXの取り組みにより、生産計画、納期管理、工程の進捗管理、品質記録の管理、数値化できる情報の見える化を進める事で、お客様にご満足頂けるQCDをご提供できる体制に整えてきました。
その結果、2023年度、大手上場企業様より、最優秀企業賞を受けることに繋がりました。


【DXで大事な事と具体例】
橋本氏は、自社で実践している具体例を次々と紹介されました。
・数字による会話 抽象語は使用しない。すべてデータ(数字)に基づいて話をする。
・組織作りと人作り 改善の発表をする機会を作ることで、何を報告するか考えながら毎日仕事をするようになる。一人一人のアンテナが高くなり、気付く力をつける事が出来てきている。
・仕組み作り 全工場、すべての規定、標準類は統一されクラウド保管して一元管理。結果、すべての従業員が同じ言語、同じ論理で対応できるように取り組まれている。
・スコア体系図 スコアにより自分が、がんばった事実、数字や成果が見えている。
・経理業務の効率化 クラウドの会計ソフトなどを、本社の経営サポートチームが、仕組み化の強化及び最終チェックを行うだけの環境を作り、経理業務の大幅な効率化をしてきた。
・DX戦略 従業員全員の全ての業務の成果が見られるようにする事と、業務改善を推進する為にDX戦略会議を開催、DXの成果を「見える化」して管理を行っている。
・自社開発ソフト 不良率の含有率PPMが自動計算や18年以上にわたるビックデータの分析が出来るようになった。
・品質管理DX 日ごとに必要な人工数や必要な分数が分かるようになり、業務負荷を具体的数値で表す事が出来るようになった。
・電子マニュアル兼チェックリスト 手順書を見ながらの組立作業、作業後の確認チェック記録がすべてペーパーレスで、紙をめくったりボールペンに持ち替えたりする必要なく、シームレスに作業を行っている。
・作業手順のIT化・デジタル化 iPad上からチェック記録をクラウドに収集。品質記録は印刷してお客様に提出できるようになった。
・歩数(マテハンのムダ)の見える化 自分の歩数を確認して、ムダの見える化をする事で改善をした。
・情報(計画・進捗・成果) 現場で必要な数値情報は、モニターで表示し、いつでも確認が可能な環境に整えた。
・ビジョン・ビジネスモデル DXの取り組みを、学生、他業種企業、公共団体と連携して交流している。


■まとめ

セミナーの終わりで、橋本氏は「整理整頓の文化がない会社にDXの効果は薄い」と大事なことを語られました。
全般を通して、DXを現在進行形で実践されている方の言葉には、端々で強い説得力を感じられました。
今後もOiFでは、様々な内容のセミナー、イベントを企画してまいります。皆様のご参加をお待ちしております。



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