OiF八王子館で開催されたセミナー「100年後を見据えたGX design~EVバッテリーは生まれ変わっても人のために~」では、講師の環境への熱意や、企業としての取組、今後の展望をお話頂きました。
今回のイベントでは、どんな事をお話頂けたのか簡単にお伝えさせて頂きます。
目次
- 企業理念と環境への意識のきっかけ
- 創業とコア技術開発のきっかけ
- 知的財産戦略型企業への道
- 何故EVリパーパスなのか、何故太陽光路面発電なのか?
1.企業理念と環境への意識のきっかけ
MIRAI-LABO株式会社 代表取締役社長 平塚 利男 氏をお招きし、100年先を見据えて取り組もうと考えたきっかけ、リパーパス製品の着想と開発過程、中小企業として社会的課題に取り組む意義についてお話しいただきました。
MIRAI-LABO株式会社には、従業員一同に浸透している企業理念があります。
それは「環境主義」。
そして、企業のビジョンとしては、「環境に良いことしかやらない会社」
この理念とビジョンだけは、全員がしっかりと共有し、信念を持っている集団と平塚 氏は自負を覗かせていました。
また、環境問題を意識するきっかけとなった出来事として、平塚 氏が18歳の時にコンビニエンスストアにてペットボトルで水が売られているのを発見し、当たり前に蛇口で飲める水が何で売っているんだ?と当時は不思議になり、そのうちには空気も売り出すんじゃないのか?と想像をしたそうです。
その後、ご結婚をされご家庭を作られた後のある日曜日に、空気清浄機の訪問販売員が来ました。過去に想像した空気を売る時代が到来した事で今当たり前にあるものが、当たり前ではなくなり、売るほど必要になることがあるのだとその体験により強く実感したそうです。
2.創業とコア技術開発のきっかけ
また、創業のきっかけとそこから発展した事業についてもお話頂けました。
創業前に平塚 氏は川原でごみ拾い、清掃のボランティアに従事されていたそうです。
その際に、偶然ホタルの再生を目指している研究者の方々とお知り合いになられ、その雑談の中で何故近年ホタルが減少していっているのか、とお話になりました。
洗剤が川に流れこんだ、自然が減少している、いろいろな説はありますが、全国レベルで広がっているとなると、原因は別なのでないかと考え、ホタルの幼虫が主食としているカワニナの減少がきっかけなのではないかと仮定しました。
では何故カワニナが減少をしているのかを調べ、酸性雨が原因と突き止め、ホタルの再生事業として、きっかけとなった研究者の方々と創業にいたったとのことでした。
コア技術の開発も、ホタル再生事業の一環から生まれました。
ホタル再生事業が軌道に乗り始めた時に問題が発生しました。
ホタルが再生され、ホタルが自生するようになる⇒その結果ホタルを見に行こうと、様々な人が来訪し地域が活性化する⇒夜に大勢がホタルを見に行くと、街灯がない場所は大変危険な為、行政から指導が入り街灯などが設置される⇒街灯を設置するとホタルが街灯に寄ってしまい、死滅してしまう。
このような負のスパイラルが発生しました。
そこでホタルとの共生の為の紫外線を含まない、LEDライトの開発を行いました。
そしてそこでLEDライトを開発したことが、「光」の特許技術となり、その後の知財戦略の始まりとなったのです。
3.知的財産戦略型企業への道
その後も開発した製品や、導入先などについてもお話を頂きました。
大手のコンビニエンスストア10,000店舗にリフレクターライトの導入、NTTファシリティーズとの共同開発で国土交通省への導入、また環境省からの依頼で標高1500メートル以上に位置する山小屋への蓄電器の導入、そして全国の都道府県警察へのバルーン投光器の導入と多岐にわたる導入実績を積み上げました。
4.何故EVリパーパスなのか、何故太陽光路面発電なのか?
そうした実績を積み上げていった中でまた新しい挑戦がありました。
その挑戦の舞台が、東日本大震災にて大きなダメージを受けた町の1つ、福島県浪江町です。
同町は避難地域となり、住民の方がいなくなった時期がありました。
そして住民の方々が戻ってきた際に1つの問題がありました。
電線がない為に、街路灯がないのです。
そこで再生をテーマとして、EVの廃バッテリーを活用した自律型ソーラー街路灯を実現しました。
国道で電線のない自立する街路灯が設置されたのは日本ではここが初めてです。
そしてこの街路灯を日本全国、世界中に広げていくという夢の実現を目指しています。
何故ならば通常の街路灯と比較して二酸化炭素の排出量を大幅に下げ、EVの廃バッテリーを再活用することにより、更に二酸化炭素の排出の抑制に繋がっている為です。
また、太陽光路面発電を推進する理由は、未利用のインフラを活用してエネルギーを生成できる点にあります。例えば、道路や駐車場の表面を太陽光発電パネルで覆うことで、都市部でも大量の電力を生成することができます。これにより、都市のエネルギー自給率を大幅に向上させることが可能です。
また、通常の太陽光発電とはエネルギー送電の効率の違いがあります。
送電をする際に電気は最大で80%ほどのロスが発生してしまいますが、太陽光路面発電を普及し、その場での使用をしていけば、エネルギーを効率的に使用できます。
まとめ
今回のセミナーは、平塚 氏が環境問題に取り組むきっかけから、中小企業として出来る環境への貢献方法を実際の事例を元にお話を頂けました。
自社で開発した製品を知財として活かし、様々な製品や取組に活かしていく、そしてそれらがしっかりと環境問題への取組に繋がっている。
これからの日本の企業も意識していくべき内容のヒントをお話頂けました。
■登壇者
MIRAI-LABO株式会社 代表取締役社長 平塚利男氏
- 1963年東京都八王子市生まれ。
- 1981年日本電信電話公社の施工管理会社に入社。
- 1983年電電公社岩槻電気通信基礎訓練専門学校卒業後、NTT通信設備の施工メンテナンス業務を通じ、アナログ・デジタル通信全般とバッテリーやさまざまな自然エネルギーの制御技術に精通。
- 2006年「技術でCO2削減」をコンセプトに掲げ水、土、光、風をテーマにした知財戦略型企業として未来環境開発研究所株式会社(現MIRAI-LABO株式会社)を創業。
創業以来、「環境に良いことしかしない会社」をコンセプトに非常用電源や省エネ機器などの環境技術・製品の開発を手掛ける。
現在は中古EVから回収したバッテリーと太陽光パネルと省エネ照明を組み合わせた「自律型ソーラー街路灯THE REBORN LIGHT」や、既存のソーラーパネルが設置できなかった路面へ設置が可能なソーラーパネル「太陽光路面発電パネルSolar Mobiway」など、革新的な技術を開発しカーボンニュートラル実現を目指している。
外部企業との連携にも力を入れており、オークネット、ENEOSホールディングス、やまびこ、センコーホールディングス、東京センチュリー、日本パーキングとの間で資本業務提携契約を締結しており、MIRAI-LABOの技術力をコアに、連携企業と共に利益創出と社会的波及を目的とした環境プラットフォームを構築している。