オープンイノベーションフィールド多摩(以下、OiF) 八王子館では、デザイン未経験者や初心者を対象に、より良いデザインを生み出すための基本的な知識やテクニックを学ぶことを目的としたセミナー「ノンデザイナーのための初心者向けデザイン入門講座」を開催しました。
セミナーは以下のプログラムで進められましたので、順にレポートします。
- 自己紹介とセミナーの目的
- デザインの基本概念
- デザインにおける4つの基本ルール
- デザインの実践例と応用
- 質疑応答とまとめ
1.自己紹介とセミナーの目的
セミナーは講師と参加者の自己紹介から始まりました。講師は三木直哉氏で、デザインの仕事に携わって約10年の経験を持ち、豊富な知識とテクニックを持っています。
そのため、普段、仕事の中でデザインに携わりながらも専門的な知識がない参加者にとって、基本ルールを学び、実践を通じてサポートを得られる貴重な機会となりました。
2.デザインの基本概念
「デザイン」の基本概念の説明がありました。内容は以下の3つです。
- 「デザイン」とは、美しいものを作るだけではなく、ある特定の目的を達成するための手法、問題解決のための工夫である。
- 「デザイン」とは、目的を明確にして、視覚的な要素を使って情報を効果的に伝える手段である。
- 良い「デザイン」は、見た目の美しさと同時に伝えたい情報がしっかり伝わる。
3.デザインにおける4つの基本ルール
デザインを機能させるためのルールが紹介されました。
そのルールとは、「近接」「整列」「対比」「反復」の4つです。
これらのルールを踏まえることで、初心者でもより美しく、情報が伝わりやすいデザインになります。それぞれのルールを簡単に紹介します。
①近接 (Proximity)
人間は視覚的に近いものを「関係があるもの」と認識する習性があります。
この習性を活用したデザインの方法が「近接」で、関連する要素を近づけて情報を整理し、視覚的なグループをつくることで、それぞれのまとまりが認識されやすくなります。
②整列 (Alignment)
整列とは、要素を「見えない線」でつなげることで一貫性と秩序をもたらす方法です。
それぞれの要素が離れていても配置次第では関係し合い、一体化されているように見せることができます。
例として挙げられた名刺のデザインでは、一方に名前と肩書を、一方に所属先の名前と連絡先を整列させることで、実際には線が入っていなくてもそれぞれが一つのまとまりを形成しているように見えました。これが「整列」の効果です。
③反復(Repetition)
反復とは、同じ色やフォント、レイアウトスタイルなどのデザイン上の特徴を、作品全体を通して繰り返すことで見た目の一体感と統一感を生み出す方法です。
その目的は単調なレイアウトでは注意が向かないため、見た目の面白さを加えることにあります。
反復を使うことでリズムが生み出され、見る人は安定感や動きを感じ、情報が伝わりやすくなります。
④対比(Contrast)
対比とは、異なる要素同士の違いを強調することです。大きさや色味、明るさに違いをつくることで見た目の違いが明確になり、おもしろみが生み出されます。
例として、重要な情報は大きく太字に、逆にそれほど重要でない情報は小さく細字にしたり、強調したい部分は背景色を他と変えることで見る人に注意を向かせ、伝えたい情報を確実に伝えることができます。
4.デザインの実践例と応用
4つのルールの説明後、講師から参加者に課題が与えられ、参加者はこれまで学んだルールを復習しながら実際にデザインを作成しました。
完成後、講師がそれぞれのデザインにアドバイスし、参加者は実践を通じて理解を一層深めることができました。
5.質疑応答とまとめ
最後に質疑応答の時間が設けられ、講師が全体を振り返りながら参加者から出された質問に答えました。
例として、「デザインのセンスをどのように磨けばよいでしょうか?」という質問に対し、「多くの良いデザインに触れ、ルールを学ぶことが大切です」というアドバイスがありました。
今回は入門講座でしたが、参加者からは大変好評で、今後、続編として応用的な内容のセミナーを期待する声もありました。
講師からは改めて、デザインとはある目的を達成するための手段であり、問題解決のための工夫を意味すること、そのためには目的を明確にし、最適化されたルールに基づいてデザインすることが大切であることを伝えられ、セミナーは終了しました。
今後もOiF八王子館では、オープンイノベーションの促進につながる様々な内容のセミナー、イベントを企画してまいります。
今回ご参加できなかった方も、ぜひOiF開催のセミナー、イベントへのご参加をお待ちしております。