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無料ツールで現場を変える!製造現場にすぐ活かせるDX術~デジタルツールハンズオンワークショップ~


はじめに

製造現場における紙台帳・Excel管理は、情報の重複や更新遅延、履歴検索の手間を招きます。本イベントではグリッターテクノ株式会社 山下氏がNotionを用いて実現した製造現場DXの具体事例と、八王子館ハンズオンワークショップの実践風景をお伝えいたします。

 

1.講師紹介と導入背景

講師山下悟郎氏はグリッターテクノ株式会社をはじめ、複数の製造業を経営する実践型の経営者です。2022年にグリッターテクノを承継した後、2023年に石田インダストリ、2024年にアスター精機と、段階的に事業承継を進め、現在3社の経営を手がけています。

山下氏が事業承継当初に直面したのは、紙台帳3冊とExcel200行超の併用による情報管理の複雑さでした。この管理体制では月平均5件のヒューマンエラーが発生し、見積作業には最大6時間を要していました。

「このままでは現場の効率化は実現できない」と考え、デジタルツールによってこれまでの台帳や見積もりなどをデータベースとして管理し、見積工数を50%削減することに成功しました。

 

2.グリッターテクノ社でのDX導入ステップ


山下氏の会社では、段階的なアプローチでデジタル化を進めました。
まずデータ一元化から着手し、紙台帳約150件をCSV化してデジタルツールにインポートしました。
次に作業マニュアルを統合し、従来の文字だけの手順書に写真・動画を埋め込むことで、視覚的に分かりやすい資料に変革しました。

工程管理においては、作業の工程を階層化して整理し、各工程にチェックリストを添付することで、作業の抜け漏れを防止しました。これらの取り組みにより、見積作業時間を6時間から2時間に短縮し、工数削減率66%を達成しました。

3.セルフチェック:参加者の準備状況

ワークショップ開始前に、参加者のNotion習熟度を把握するためのセルフチェックを実施しました。

  • Notion利用経験(有/無)
  • データベース作成経験(有/無)
  • Relate機能理解度(高/中/低)
  • Rollup機能理解度(高/中/低)
  • メディア挿入経験(有/無)
  • フィルター・ソート設定経験(有/無)
  • 外部通知設定経験(有/無)


 

4.業務リスト作成演習

実際のワークショップでは、Notionデスクトップ版を使用して業務リスト作成演習を行いました。
参加者は3つのページ『業務内容・担当』 『社員リスト・担当業務『改善案』を作成し、仮のデータを登録しました。
各ページの共通項目をリレーションさせることで、それぞれのページの情報が自動的に更新されます。


これら3つのデータベースを相互に連携させることで、業務・人・改善のサイクルが一つのシステム内で完結する環境を整えることができました。
また、ツールをより便利に使える技として、AIを用いた文字起こしや、各項目の内容(ここでは具体的な業務内容など)をAIに要約させる機能にも挑戦しました。

 

5.データベースのさらなる活用


今回作ったページをベースにして、他にどんな活用ができるのか、おすすめの活用方法を紹介します。

  1. 業務マニュアル:業務ごとのマニュアルや手配書を業務に紐づけて管理
  2. 社内広報:部署ごとに「こんな仕事をやっています」という情報を社員同士で伝えるコミュニケーション媒体
  3. 社員育成:社員のスキルマップとしての活用、マニュアルを統合して、育成の進捗管理に
  4. 災害や緊急時の対策・体制づくり:緊急時の連絡体制や対応手順をデータベース化


このように、担当業務や人を整理しながら管理し、社内で必要な情報をリアルタイムで同期させることで、社員同士のコミュニケーションや、災害への体制づくりにも繋げることができます。

 

6.まとめ

本ワークショップを通じて、デジタルツールを活用した社内情報の整理が、いかに業務効率化に直結するかを実感していただけたのではないでしょうか。
山下氏の事例が示すように、紙台帳やExcelによる従来の管理方法から脱却し、デジタルツールで情報を一元化することで、見積時間の大幅短縮やヒューマンエラーの削減が実現できます。重要なのは、完璧を目指すのではなく、Excelのファイルや紙台帳の整理からはじめていきましょう。

DX化は一朝一夕では完成しませんが、小さな習慣がやがて大きな効率化につながります。
ぜひ、このワークショップで得た知識とツールを活用して、皆さんの現場でもDXの第一歩を踏み出してください。

 
 


グリッターテクノ株式会社 代表取締役
山下 悟郎 氏

 



 



 

  • 八王子市在住。50歳。妻、息子(10歳)。
  • 2008年~外資系メーカーにてプラント向け省エネ提案に従事。
  • 2022年にサラリーマンから個人事業承継。八王子の金属部品加工業、グリッターテクノ株式会社を承継する。その後2023年、2024年にも小規模の製造業を事業承継し、現在3社の経営を手がける。
  • 1社目を承継した際、昔ながらの紙とFAXおよびExcelでの管理に危機感を覚え、Notionを活用した独自の生産管理システムを開発。現在は3社共通のプラットフォームとして活用している。図面データから管理会計まで一貫したシステムを構築し、PC未経験者でも3ヶ月程度で習得できる使いやすさを実現。複数の町工場を効率的に経営するための事務負荷の低減及び業務の効率化に成功している。
  • この経験を活かし、中小製造業のデジタル化支援や、事業承継に関するコンサルティングも行う。町工場の持つ力を最大化することをミッションに掲げ、中小製造業の支援と事業継続の両立に取り組んでいる。



 
 
今後もオープンイノベーションフィールド多摩 八王子館では多摩地域の中小企業の皆様にとって有益な情報を届けてまいりますので、足をお運びください。


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