「いいもの」でも伝わらなければ選ばれない——地域産品が抱える共通課題を整理
地域産品やこだわりの商品を扱う事業者の多くが、「品質には自信があるが、うまく伝えきれない」「説明しないと良さが伝わらない」といった課題を抱えています。
返礼品や催事、卸販売など販路は広がる一方で、限られた時間や場面で、一人ひとり丁寧に説明し続けることには限界があります。
本イベントでは、「地域産品の伝え方・魅せ方」をテーマに、“いいもの”を前提にするのではなく、見た瞬間に価値が伝わり、買いたくなる状態をどうつくるかという視点から、商品設計・見せ方・情報整理の考え方を学びました。
「売るための説明」から「買った後の未来を想起させる設計」へ
商品の見た目や情報設計が、購買行動にどのような影響を与えるかについて、さらに踏み込んだ話が展開されました。
・「おいしい」だけでなく「おいしそう」と感じてもらう
・食べ方や使い方がイメージできることで、購入のハードルが下がる
・シール一枚、見せ方一つで、季節商品が通年商品に変わる可能性がある
この他「お客様が知りたいのは、買ったらどんな未来になるか」という視点から、あえてスペックを書かず、想起を促す表現を選ぶという工夫も紹介されました。
同じ商品でも、売り場や目的によって購買動機や値ごろ感は変わる——
だからこそ、他と比べられない土俵をつくること、
ライバルが少ない売り先や、食品以外の販路を視野に入れる重要性も語られました。
商品を持ち込んでの壁打ちから見えた、「伝わらない理由」と「伝わる工夫」
参加者が実際に自社商品を持ち込み、登壇者との壁打ちを実施しました。
パッケージデザインの相談や、品種の違いが伝わりにくいこと、価値観の違いによる伝え方の難しさなど、現場ならではの悩みが多く共有されました。
登壇者からは、具体的な事例をもとに、
・産地や品種の打ち出し方
・ビジュアルによる違いの見せ方
・「食べ比べ」「選ぶ楽しさ」をどう演出するか
といった実践的な視点が示されました。
「知って食べると、もっと美味しい」という想いのもと、
単なるスペック説明ではなく、“あなたのために選びました”という文脈をどうつくるかが、商品の魅力を伝えるうえで重要であることが共有されました。
まとめ
本イベントを通じて、参加者は「商品の良さを伝える」とは何かを、改めて立ち止まって考える機会となりました。
商品の中身や品質だけでなく、誰に、どんな場面で、どんな未来を届けたいのか。
その軸を整理し、ビジュアルや言葉、売り場の設計に落とし込むことで、“いいもの”は“買いたくなるもの”へと変わっていきます。
地域産品やこだわりの商品を扱う事業者にとって、実践的なヒントが詰まった学びの場となりました。
有限会社 良品工房
統括マネージャー
白田 さやか 氏
【略歴】
米・ノースカロライナ大学卒。新聞記者を経て、2010年に(有)良品工房に入社。 同年3月にオープンした東京駅構内の直営店「ニッコリーナ」の立ち上げを担当し、 初代店長となる。
4年間の実店舗経験を生かし、その後は、「地域産品の売り方・手渡し方」を 探求しようと、社内では、とくに品揃え、棚づくりなどを担当。
食品販売や地域産品の販売に新規参入する企業をクライアントに、店づくり、MDなどのアドバイスも行っている。
子育て真っ最中の日常で、リアルな視点でのアドバイスが、迫力も説得力も増している。