初心者から経験者までが集い、3Dプリントの「つまずきどころ」を共有
3Dプリンターは、試作や補修、オリジナル商品の開発など、さまざまな可能性を秘めたツールです。一方で、「何から学べばよいかわからない」「思い通りに出力できない」といった悩みを抱えたまま、活用が進まないケースも少なくありません。
本イベントには、3Dプリンターを初めて触る方から、業務や趣味で活用している経験者まで、幅広い参加者が集まりました。
ガイド作成や補修部品の製作、オリジナル商品のベースづくりなど、目的はさまざまでしたが、「3Dプリントで思い通りの成果を出したい」という共通の関心が見られました。カジュアルな雰囲気づくりを通じて、初心者でも安心して学び、相談できる場が設けられました。
モデリングとスライス設定を行き来しながら学ぶ、実践的なセミナー
セミナーパートでは、3Dプリントの成果を左右する「モデリング設計」と「スライス設定」に焦点を当て、構造設計の考え方や出力安定性を高めるポイントが解説されました。
登壇者からは、「正解は一つではなく、最適解を探すもの」という考え方や、3DCADとスライサーを行き来しながら調整していく姿勢の重要性が強調されました。
また、材料を「かたいプラスチック」として捉えるのではなく、「粘りのある水のような流体」として考える視点や、Z方向に弱さが出やすい異方性といった特性についても紹介。
「これ、壊れないよね……」と事前に想像する癖をつけることで、失敗を減らし、再現性のあるデータづくりにつなげる考え方が共有されました。
対話と共有を通じて、3Dプリンター活用のハードルを下げる
質疑応答や操作Tipsの共有を中心とした交流・相談パートも実施。
初心者から経験者までが同じ場で悩みや工夫を言語化し、講師や参加者同士の対話を通じて学び合う時間となりました。
「なるべく壊れないようにつくるにはどう考えるか」「使えるデータとは何か」といった具体的な相談に対し、個々の状況に応じた視点やヒントが示され、参加者は自分の活用シーンに引き寄せて理解を深めていました。
モデリング設計とスライス設定を切り分けて考えるのではなく、行き来しながら最適化していく——。
その考え方を共有できたことにより、3Dプリントに対する心理的なハードルを下げ、継続的な活用につなげるきっかけになれば幸いです。
まとめ
本イベントを通じて、参加者は3Dプリンターを使ったものづくりの全体像を具体的にイメージできるようになりました。
「難しさもあるが、だからこそ楽しさがある」「ベーシックな内容を体系的に理解できた」「モデリングの考え方がよく分かり、実際の講義ならではの学びがあった」といった声からは、初心者にとっては基礎固めとして、経験者にとっては理解を整理する場として、有意義な時間であったことが伺えます。
操作や設定のテクニックだけでなく、「なぜその考え方が必要なのか」を丁寧に解説したことで、今後の試行錯誤を前向きに楽しめる視点が共有されました。
3Dプリンターを“買って終わり”にしないための、継続的な学びと交流の場として、今後の活用につながるイベントを引き続き、開催してまいります。
3Dプリント師/YOYOMAKER/プロトタイプラボ開発アドバイザー
東方 秀樹(トウホウ ヒデキ) 氏
FDM方式を中心とした出力ノウハウに精通。現場に即した造形アドバイスを提供。
■プロフィール
・横浜国立大学教育人間科学部卒
・ヤマハ音楽振興会に入社後、東京・神奈川の直営音楽教室、関西の特約店マネジメントに従事。
・退職後、ハードウェアスタートアップ、株式会社ニコ・ドライブで身体に障がいを持つ方のための自動車用品製造販売に従事
・同時期に3Dプリンターによるヨーヨー製作を追求する個人ブランドYOYOMAKERの個人活動を開始
競技世界チャンピオンのヨーヨーや用品の開発を行いながら、3Dプリンターの活用普及を進めるべく不定期でワークショップを主催する
・チェコの3Dプリンターメーカー、PrusaResearch社の日本現地協力スタッフ
・2023年より、東京都中小企業振興公社オープンイノベーションフィールド多摩国分寺館プロトタイプラボの開発プロセスアドバイザーに就任
■実績
・2014年ジャパンナショナルヨーヨーコンテストファンイベントMODS部門、初の3Dプリント製作ヨーヨーで優秀賞を受賞
・「3DCAD&3Dプリンターでヨーヨーを作ろう!ワークショップ」を、東急ハンズ渋谷店や世田谷ものづくり学校などで開催
・2015年日経ものづくり主催「3Dプリントシンポジウム」にゲストスピーカーとして登壇
・ディアゴスティーニ「月刊3Dプリンター53号」に特集記事掲載
・WEBとクルマのハッカソン2017最優秀賞受賞
・2017イーストジャパンヨーヨーコンテスト1A部門に3Dプリントヨーヨーで出場
・2018年より3Dプリンターで作ったヨーヨー、グッズを商品化。FFF式の3Dプリンターで最終製品として製造し、累計10,000個以上を出荷
■ファシリテーター
オープンイノベーションフィールド多摩 事業責任者
三木 直哉(ミキ ナオヤ)
デザインやマーケティング領域を得意とし、企業や個人の活動を支援する立場から自身も2023年より3Dプリンターに取り組み始める。
初心者目線での3Dプリンター導入時のつまずきや勘所、楽しさや活用の可能性を自身の体験に基づいて共有。