2026年5月18日、オープンイノベーションフィールド多摩 八王子館にて、「HPを集客につなげる!中小企業のためのデジタルマーケティング入門」を開催しました。
講師は、FunTre株式会社 代表取締役の谷田部 敦氏です。FunTre株式会社は、中小企業のデジタルマーケティング支援や自治体連携事業、人材育成講座などに取り組んでいる会社です。
今回のセミナーでは、ホームページやSNSを「作っただけ」「始めただけ」で終わらせず、問い合わせや集客につなげるための考え方を、実例を交えながらお話しいただきました。
「ホームページはあるけれど、問い合わせにはつながっていない」
「SNSを始めたものの、何を投稿すればいいのかわからない」
「デジタルマーケティングが大事なのはわかるけれど、最初の一歩が見えない」
そんな悩みがある方にとって、今回のセミナーはかなり実践的な内容でした。
難しい専門用語を覚えるというよりも、
「ここなら自社でも見直せそう」
「これは明日からできそう」
と思えるポイントがたくさんありました。
デジタルマーケティングは、まず「何をやるか」を選ぶところから
セミナーの前半で印象的だったのが、デジタルマーケティングを「カード選び」に例えたお話です。
Instagram、YouTube、X、LINE公式アカウント、メルマガ、SEO、広告など、今は集客に使える手段がたくさんあります。選択肢が多い分、「結局どれをやればいいの?」と迷いやすいところでもあります。
谷田部氏は、マーケティングで最初に難しいのは、この“カード選び”だと話しました。
たとえば、動画が向いている会社もあれば、まずは検索対策を整えた方がよい会社もあります。BtoBであればFacebook広告やSEOが合う場合もあり、地域密着型の店舗であればGoogleマップ対策が先に効く場合もあります。
「最近Instagramが大事らしいから、まずInstagramをやろう」
「YouTubeが伸びているらしいから、動画を始めよう」
その施策が合う会社もあります。
一方で、自社のお客様がそこにいなければ、がんばっても成果につながりにくくなります。
まず考えたいのは、流行ではなく、
「自社のお客様はどこにいるのか」
「どの接点なら動きやすいのか」
「今の自社で続けられる施策なのか」
ということです。
何を始めるかを決める前に、まずは自社に合う手段を選ぶ。
ここを押さえるだけでも、デジタルマーケティングの見え方が変わります。
集客は「点」ではなく「流れ」で考える
次に話題に上がったのが、「6マス・マーケティング」です。
これは、お客様が自社を知って、比較して、信頼して、問い合わせや購入に進み、さらにリピートや紹介につながるまでの流れを6つのマスで見る考え方です。
流れは、次のように分けられます。
• 認知・出会い
• 獲得
• 信頼
• フロント商品
• メイン商品
• リピート・紹介
たとえば、SNSや広告で知ってもらうのは「認知・出会い」。
資料請求やホワイトペーパー、名刺交換は「獲得」。
メルマガやLINE公式アカウントは「信頼づくり」。
無料相談や見積もり、セミナー参加は「フロント商品」。
その先に、本命の商品やサービスの購入があり、最後にリピートや紹介へつながっていきます。
ここでハッとするのは、どこか1つだけがんばっても、途中で流れが止まると成果につながりにくいということです。
SNSを一生懸命更新していても、ホームページに来た人が問い合わせしにくければ、そこで止まってしまいます。
ホームページがきれいでも、そもそも見つけてもらえなければ、問い合わせにはつながりません。
セミナーでは、自社の6マスを書き出してみる時間もありました。
「認知はやっているけれど、信頼づくりが弱いかも」
「無料相談や資料請求の入口がないかも」
「一度利用してくれた人に、また来てもらう仕組みがないかも」
書き出してみると、なんとなく感じていた課題が見えやすくなります。
集客というと、つい「新しい施策を増やす」方向に目が行きがちです。
実は、流れの途中で詰まっている場所を見つける方が、先に効くこともあります。
ホームページは、全部直す前に“よく見られる場所”から
ホームページを改善しようとすると、「全部リニューアルしないといけないのでは」と思ってしまうかもしれません。
今回のセミナーでは、まず見直すべき場所がかなり具体的でした。
いきなり全部を変えるのではなく、まずは見られやすいところから。
この考え方なら、すぐに取り組みやすくなります。
トップページは、第一印象を決める場所
まず見直したいのはトップページです。
トップページで特に大事なのが、最初に目に入るメインビジュアルです。谷田部氏は、ここを「印象をコントロールする場所」として話しました。
伝統・歴史・技術を見せたいのか。
革新的な印象を出したいのか。
権威性を伝えたいのか。
センスを感じてもらいたいのか。
信頼感や安心感を持ってもらいたいのか。
たとえば、老舗企業なら「歴史」や「技術」を見せた方が合うかもしれません。新しいサービスなら「革新性」を出した方が伝わりやすい場合もあります。BtoBの会社なら「信頼感」や「安心感」が大事になることもあります。
なんとなくきれいな写真を置くのではなく、
「この会社に相談してみたい」
「ここなら安心できそう」
と思ってもらうには、どんな印象が必要なのか。
トップページを見る目が、少し変わるポイントでした。
会社概要は、思っている以上に見られている
次に見直したいのが会社概要です。
会社概要は、最低限の情報だけで済ませてしまいがちなページです。
初めて取引を考える人にとっては、かなり大事な確認場所です。
「どこにある会社なのか」
「代表者は誰なのか」
「どんな実績があるのか」
「問い合わせても大丈夫そうか」
こうした不安を減らすために、会社概要は見られています。
所在地や連絡先だけでなく、沿革、主要取引先、社名の由来、アクセス情報なども、信頼感を伝える材料になります。
ホームページを見ている人は、いきなり問い合わせるわけではありません。
その前に、「この会社、ちゃんとしていそうかな」と確認しています。
会社概要は、その確認に答えるページです。
実績紹介は「自分に近い事例があるか」が見られる
実績・事例紹介も、ただ並べるだけではもったいないページです。
見ている人は、実績の数だけを見ているわけではありません。
むしろ気にしているのは、
「自社に近いケースがあるか」
「同じような悩みを解決しているか」
という点です。
そのため、実績紹介では、誰が、どんな課題を持っていて、どう変わったのかが伝わることが大切です。
「導入しました」だけではなく、
「何に困っていたのか」
「何を変えたのか」
「その後どうなったのか」
この流れがあると、読み手は自分ごととしてイメージしやすくなります。
お問い合わせページは、できるだけ軽くする
意外と見落としがちなのが、お問い合わせページです。
入力項目が多い。
何を相談していいのかわからない。
問い合わせたら、すぐ営業されそうで少し不安。
こう感じると、せっかく興味を持った人も、最後の一歩で離れてしまいます。
セミナーでは、入力項目を必要最小限にすることや、「資料請求」「見積もり依頼」「無料相談」など、次の行動をわかりやすく示すことについても話がありました。
「お問い合わせ」とだけ書かれていると、少し重く感じることがあります。
「資料請求」
「無料相談」
「見積もり依頼」
このように書かれていると、何をすればよいかがわかりやすくなります。
小さな言葉の違いですが、行動のしやすさはかなり変わります。
SEOは、検索している人に見つけてもらうための準備
後半では、SEO対策についてもお話がありました。
SEOと聞くと、少し難しそうに感じるかもしれません。
基本は、困っている人が検索したときに、自社のページを見つけてもらえるようにすることです。
谷田部氏は、検索している人はすでに何かを求めている状態であり、だからこそSEOは集客につながりやすいと話しました。
欲しがっている人の目の前に、欲しがっている商品やサービスを置くこと。
このマーケティングの基本を、検索対策の話と重ねながらわかりやすく伝えていました。
たとえば、
「八王子 ホームページ改善」
「多摩 製造業 Web集客」
「地域名+サービス名」
のように、具体的な悩みを持った人は検索します。
そのときに、自社のページが見つかる状態になっていれば、問い合わせの入口になります。
SEO対策では、検索する人の悩みに合ったページを用意すること、専門性や実績が伝わること、読みやすく信頼できる内容になっていることが大事になります。
テクニックだけで上げるというより、
「このページは、検索した人の役に立つか」
という視点が欠かせません。
MEOは、「地域名+業種」で探している人に見つけてもらうための準備
地域密着型の事業では、Googleマップ対策、いわゆるMEOも見逃せません。
「地域名+業種」で検索したとき、検索結果の上の方にGoogleマップが表示されることがあります。店舗や地域に根ざしたサービスでは、ここから来店や問い合わせにつながることもあります。
MEOでは、営業時間やサービス内容を正しく入れること、ホームページとGoogleマップの住所表記をそろえること、最新情報を投稿すること、口コミに返信することなどがポイントになります。
特に口コミは、これから利用を考える人にとって大きな判断材料になります。
良い口コミを増やす工夫も大事ですが、悪い口コミが入ったときに放置しないことも大切です。返信は、投稿した本人だけでなく、これから利用するかもしれない人にも見られています。
落ち着いた返信があるだけで、見る人の印象は変わります。
口コミ対応も、ホームページ改善・集客改善とあわせて見直したいポイントです。
質疑応答では、実務で悩みやすい話も
質疑応答では、ホームページの文章づくりや広告運用についての質問もありました。
文章は「自社の強み」より「相手の悩み」から
ホームページに何を書けばよいかという質問に対して、谷田部氏は、まずターゲットを明確にすることが大切だと話しました。
自社の強みから書き始めると、どうしても会社側が言いたいこと中心になりがちです。
読み手が知りたいのは、
「この会社は、自分の悩みを解決してくれるのか」
ということです。
そのため、まずは相手が何に困っているのか、何を欲しがっているのかを考える。
そのうえで、自社の強みをどう役立てられるのかを伝える。
この順番にするだけで、文章はかなり読み手に届きやすくなります。
今あるホームページを見直すときも、
「これは自社が言いたいことになっていないか」
「読み手の悩みから始まっているか」
を確認してみると、改善のヒントが見つかりそうです。
広告は、感覚ではなく試して決める
Facebook広告やInstagram広告などのMeta広告については、画像がとても大事だという話がありました。
最初から「この画像が正解」と決めるのではなく、複数の画像を試して、数字を見ながら良いものを残していく。いわゆるABテストです。
クリック率や申し込み率を見ながら改善していけば、感覚だけに頼らず判断できます。
今はAIで広告画像の案を作ることもできるので、小さく試して、反応のよいものを伸ばしていく方法は、中小企業でも取り組みやすくなっています。
動画か静止画かは、相手に合わせて決める
トップページのメインビジュアルについて、動画と静止画のどちらがよいかという話もありました。
動画は印象に残りやすい一方で、ページが重くなる可能性があります。
静止画やスライドショーの方が、信頼感や安心感を伝えやすい場合もあります。
若い層に向けて驚きや楽しさを出したいなら動画。
BtoBで落ち着いた信頼感を伝えたいなら静止画。
ここでも大事なのは、「流行っているから動画にする」ではありません。
誰に、どんな印象を持ってもらいたいのか。
そこから考えると、選び方が変わってきます。
まとめ
今回のセミナーを聞くと、「うちのHPも少し見直した方がいいかも」と思えるポイントがたくさんありました。
デジタルマーケティングというと、難しいツールや大きな予算が必要だと感じるかもしれません。
最初の一歩はもっと身近なところにあります。
自社の6マスを書き出してみる。
トップページで伝えたい印象を決めてみる。
会社概要を少し丁寧にしてみる。
実績紹介を読み手目線で見直してみる。
お問い合わせページの項目を減らしてみる。
Googleマップの情報が正しいか確認してみる。
こうした小さな見直しでも、ホームページは「あるだけのもの」から「集客につながる入口」に近づいていきます。
今回のセミナーには、デジタルマーケティングを難しく考えすぎず、自社でできる一歩を見つけるヒントがたくさんありました。
FunTre株式会社
代表取締役
谷田部 敦 氏
2009年、東京大学大学院理学系研究科卒業。大手外資系メーカーに就職、海外の輸出入業に携わり、欧米等で新規ビジネス創出を手掛ける。
2011年、中小企業のデジタルマーケティングを支援する会社としてFunTre株式会社を創立。
ヒットする新規事業の立ち上げ方、マーケティング理論を確立し、数々の企業の新規事業立ち上げやサービスの販路拡大に貢献する。
その後、企業のデジタルマーケティングの仕組みをつくる支援の需要が増え、自治体連携事業や伴走支援業務、人材育成講座等を全国で実施。全国の企業にDX推進やデジタル人材の育成を手掛けている。
オープンイノベーションフィールド多摩では、これからも中小企業の経営改善にお役に立てるような企画を準備していきます。次回開催されるイベントでお目にかかりましょう。
スタッフ一同、国分寺館・八王子館でお待ちしております!!