家業の信用資産を基盤に、事業の方向性を再設計する
本イベントでは、地域資源を活かしたブランドづくりと、共創による事業展開について、実際の経営経験をもとに学ぶ機会を提供しました。
講演では、青果卸の家業を継承する三代目経営者である根津祐太郎氏が登壇し、長年の取引関係や流通ネットワークといった「信用資産」をどのように事業に活かしてきたのかを紹介しました。業界構造の変化や価格競争の激化といった背景の中で、単に商品を販売するだけでなく、「価格ではなく価値で選ばれる事業」を目指してブランドを再設計していった過程が語られました。
また、才能や偶然ではなく、事業を形づくる構造や考え方に焦点を当てた内容となり、参加者が自身の事業に置き換えて考えるきっかけとなりました。
ブランドは「想い」と「ストーリー」で設計する
講演の中では、飲食ブランド Adam’s awesome PIE の立ち上げ事例をもとに、ブランドづくりの具体的なプロセスが紹介されました。
地域の歴史や産地との関係性を背景に、商品そのものだけでなく、その背後にあるストーリーをどのように設計するのか。価格競争ではなく、価値や共感によって選ばれるブランドを構築する考え方が共有されました。
また、成功事例だけでなく、事業立ち上げ当初の売上不振や試行錯誤といった失敗談についても率直に語られ、ブランドづくりの現実的なプロセスを理解する機会となりました。
参加者からは
• 「経営者の想いや事業のストーリーに共感した」
• 「とても想いの込もった話で、自分の関心テーマと合致していた」
• 「失敗談を含めたリアルな話が勉強になった」
といった声が寄せられました。
共創は「企画書」ではなく「関係性」から生まれる
後半では、地域事業者との連携による商品開発やイベント企画など、共創によって生まれた具体的な取り組みが紹介されました。
講演では、共創は企画書や事業計画として生まれるものではなく、日常的な会話や信頼関係の積み重ねから生まれるものであるという考え方が強調されました。フォーマルな会議室だけでなく、雑談や非公式な場の中にこそ新しい連携のきっかけがあるという実体験が共有されました。
また、一見自分の事業と関係がない場に足を運ぶことも、新しい出会いや共創の可能性につながるというメッセージも印象的でした。
まとめ
本イベントでは、家業の信用資産を活かしたブランドづくりや、地域との関係性から生まれる共創の可能性について、実体験に基づいたストーリーを通じて学ぶ機会となりました。
成功事例だけでなく失敗や試行錯誤も含めたリアルな経験を共有することで、参加者にとって自身の事業を見つめ直すきっかけとなる場となりました。
株式会社根津
統括マネージャー
根津 祐太郎 氏
【所属・事業内容】
• 青果卸売業を営む老舗企業「株式会社根津」の三代目。
• 飲食未経験から、地域性と歴史を軸としたカフェ事業「Adam’s awesome PIE(アダムスオーサムパイ)」を立川駅近くに出店・運営。
• 高品質なアップルパイを看板商品としつつ、地域企業・農家との連携による商品開発、販路拡大を推進。
• 地域商材を生かしたコラボ商品の企画・プロデュースも手がける。
【経歴・エピソード】
• 新卒でIT系企業に就職後、リーマンショックを経て複数企業を経験。
• 後に実家の事業に戻り、卸売業に従事。ある日、父の一言を機に飲食事業への挑戦を決意。
• 専門学校でカフェ運営を学びながら卸売業務と両立。2016年10月に「Adam’s awesome PIE」をオープン。
• 飲食未経験ながら素材・レシピ・形態の工夫を重ね、独自性の強いアップルパイを開発。
• 当初は“尖りすぎて受け入れられない”時期も経験。テレビ取材がきっかけで反響が一変し、商品価値とストーリーの重要性を実感。
• 地域や団体との連携にも積極的。例:立川市の「TiSTORE」との協業、地元スポーツチームとの返礼品開発、農家とのコラボ開発(八王子産パッションフルーツのバター、地元ブルーベリー素材商品など)
• 将来的にはフランチャイズ展開も視野におきつつ、共有できる価値観を持つパートナーとの協業を重視。卸事業にも注力し、病院や施設への販路拡大を実現。
【志/今後の展望】
• 「素材本来の味・価値を伝える商品を、信頼できる仲間とともに広める」こと
• 事業を広げる際には、初期投資やリスクを共有できる“想いを共にするパートナー”との協業を志向
• 食の世界で日本のアップルパイの価値を高めたいという夢を抱える