はじめに 中小企業が“共創”に踏み出すための学び
自社だけでの製品開発には限界がある——。
そんな課題を抱える中小製造業が、外部との連携によって新しい価値を生み出すオープンイノベーションを学ぶ場として、本イベントが開催されました。
講師には「ものづくりドットコム」創設者の熊坂治氏を迎え、理論と実践の両面から中小製造業におけるオープンイノベーションの推進ポイントを解説しました。
理論と事例の両輪で学ぶ、オープンイノベーションの進め方
熊坂氏はまず、オープンイノベーションの基本概念を紹介。
「外部の知恵や技術を自社に取り込み、新しい価値を生み出すこと」がその本質であり、ITの進化や開発スピードの加速、人材不足といった現状がそれを後押ししていると語ります。
続いて、中小企業が実際に取り組む際のステップを具体的に提示。
・自社の強みを分析(SWOT・VRIO分析)
・Webや展示会、SNSなどを通じてパートナーを探索
・ニーズ・シーズのすり合わせ
・小さな試作(MVP)から始め、失敗から学びながら連携を深める
理論を現場レベルに落とし込んだ実践的なプロセスが、参加者の理解を深めました。
企業事例としては、大学や信用金庫、スタートアップと連携して新素材開発を進めた中小企業や、Web整備により受注先を拡大したメーカーの事例を紹介。連携によって事業が動くリアルなストーリーに触れました。
熱のこもった質疑と交流
質疑応答では、「自社に合ったパートナーをどうやって出会えばいいか」「そのためにどういった手段や方法を取り入れればよいか」など、具体的な質問が次々と寄せられました。
熊坂氏が実体験を交えて一つひとつ丁寧に答える姿に、会場の雰囲気も盛り上がり、終了直前まで参加者同士の意見交換が自然と続くなど、学びとつながりの両方が得られる場となりました。
オープンイノベーションの目的は“共創”ではなく“成長”
本講座を通じて伝えられたのは、「オープンイノベーションを目的化しないこと」。
大切なのは、自社の成長を見据えた“戦略的な外部連携”です。待つのではなく、自ら発信し、動くことで新たなチャンスが見えてくる——。
参加者にとって、自社のこれからを考える大きなヒントを得た機会となりました。
熊坂技術士事務所 代表
技術士(経営工学部門、総監部門)
博士(工学)
技術経営修士(専門職)
熊坂 治(くまさか おさむ)氏
【経歴】
1979年東北大学工学部を卒業後、パイオニア株式会社で米国現法駐在を含む30年にわたり研究・開発・生産技術・品質・事業企画などを幅広く経験。
独立後は製造業向け課題解決サイト「ものづくりドットコム」を創設・運営し、10年で260万人超に利用するまでに成長後2021年ブロードリーフ社に売却。
現在は熊坂技術士事務所代表として、多くの企業や公的機関で業務支援・講師・委員として関わり、複数大学での教育活動にも従事。
工学博士(東京工業大学)・技術経営修士(専門職)・技術士(経営工学・総監)の三大技術国家資格を有し、製造業の技術経営・生産性革新・人材育成が専門分野。
(特徴)
・技術士、博士、MOTという技術者3大国家資格を保有。現場に精通し、学術知識を応用した経営的観点で判断できる稀有な存在として、産業界の発展のために活動。
・5年間の米国駐在、10年間のスタートアップ企業運営とExitの経験を活かして、国際的観点を含め現実的な事業運営と革新を支援。
(専門分野)
・技術経営の革新(技術戦略、開発テーマ管理、マーケティング)
・新製品開発プロセスの革新(事業企画、市場調査、製品企画、仕様設計)
・設計品質の向上(品質工学)
・製造品質の向上、品質問題の解決と未然防止(品質工学、品質管理)